新自由主義的発想が極限にまでくるとどうなるのか、それをある意味、生の姿を示したのが日本維新の会です。
「<野党に問う>日本維新の会・片山虎之助共同代表インタビュー 「日本大改革プランを準備」」(東京新聞2021年8月30日)
日本維新の会の片山虎之助共同代表がインタビューに答えています。
その中で一番、ショッキングだったのがこれ。
「―コロナ禍で経済的な不安も高まっている。
「ピンチをチャンスに変える日本大改革プランを今準備している。それは可処分所得を倍増するため税制改革と社会保障改革、成長戦略を一体としたものだ。まず国民に1人6万円のベーシックインカムを保障する。それに伴い、生活保護や児童手当、基礎年金等を廃止する。働き方改革や徹底した行財政改革も行う」」
国民1人は必ず6万円が支給されるということですが、生活保護、年金が廃止されるということは、これが最低限度の生活ということになります。
公的年金について基礎年金として1人6万円は支給する、その上積みはそれぞれが保険料を納付する、ということだけであればまだわかります。しかし、それが最低限ということになると6万円は現在の生活保護基準よりも低いので話になりません。国民に憲法が保障する健康で文化的な老後生活を保障しようとすれば、基礎年金額は生活保護基準を超える必要があります。
また、この場合の支給は基本給付になるわけで、どの国民も受領できるようにすべきものですから、基本的な年金掛け金の納付は無用になります。
維新の会がこんなところまで思いが至っているとは思えません。
年金は年金で掛け金を徴収するのでしょう。
2021年8月21日撮影
児童手当などを廃止してしまったら、母子家庭など低所得層を直撃します。
6万円×世帯数で生活ということになりますが、子一人であれば給付額は12万円であり、現在の生活保護基準には遠く及びません。
反面、富裕層は累進課税で持って行かれた分の還元です。還元する必要がない層に対してまで還元していたら財政に大穴が空きます。
そうするとこの財源をどうするのか。
本来であれば累進課税の強化でなければならないはずです。
ところが、維新の会は、母子家庭など本来、手厚くしなければならない層への給付をばっつりと切ってしまっていますから、累進課税の強化など全く想定されていないことでしょう。
もともと新自由主義的発想から生まれた維新の会ですから、貧困層は最低限の生活に追いやってしまえばいい、そうしたことが露骨に示されたのが、片山氏の述べたことの意味です。