これまでOKとされたテレビ的な発言は“時代遅れ”に
“毒舌”も1つの芸だが、生死の境をさまよった人間に冷たいセリフを吐くのも芸なのか──。新型コロナウイルスに感染し、一時は重篤な状態に陥った野々村真(57才)に対し、坂上忍(54才)が“言い放った発言に、ネットには少なからぬ批判の声が寄せられた。2人はともに長い芸能生活を送ってきたベテラン。友人だからこそ通じるキツいジョークでも、それをテレビで言うのはアリなのか?
【写真5枚】コロナ感染から復帰した野々村真。一時は危険な状態に。他、愛犬を散歩させる坂上忍の姿も
野々村の感染が発表されたのは7月31日のこと。自宅療養を続けたものの、重度の肺炎で入院することになり、病院ではICU(集中治療室)に運ばれて、人工心肺装置「ECMO」を使用する寸前までいったという。そしてようやく8月24日に退院し、『バイキングMORE』(フジテレビ系)にリモート出演したが、坂上から浴びせられたのは優しい言葉ではなく、強烈なパンチだった。ネットニュース編集者はいう。
「野々村はもともと『バイキング』の月曜レギュラー。退院が叶った彼は、コロナ感染の恐ろしさについて質問に答えるような形で解説しました。坂上は冒頭、『まこちゃん、おかえりなさい』と気遣う発言をしていたのですが、野々村が『全国の皆様の応援で……』と感謝のメッセージを述べたところ、坂上が『そこまで全国の人は応援してなかったよ』とツッコんだのです。野々村はとっさに『……そうね』と肩を落とし、2人が爆笑したため“事なき”を得ましたが、ネットユーザーからは批判の声が上がりました」
坂上の発言に対し、ツイッターには、
「野々村さんは坂上の言葉に確実に傷ついてる」
「コロナかかって息苦しい人に対してあの態度は…酷い」
「今は真剣におかえりって言ってあげて欲しい。なんか大したことないって風に聞こえちゃう」
といった声が登場。テレビ関係者は、テレビマンの時代錯誤を指摘する。
「テレビ界が昨今、一番恐れているのは炎上ですが、だからこそハッキリと物を言ってくれる人は貴重です。坂上忍のほか、立川志らく、梅沢富美男、カンニング竹山、長嶋一茂、古市憲寿など、何でもズバズバ斬る人がテレビで大人気ですよね? 問題発言がネットで話題になれば、チャンネルを合わせる人も出てくる。いわゆる炎上マーケティングというヤツで、彼らをありがたく起用している制作サイドの人間がいるのです。
ただ、それにしても今回の坂上の発言は、あまりに配慮に欠けたものと言わざるを得ません。苦しんでいる人がいても笑いにもっていくような“テレビ的発言”は時代遅れですし、視聴者も求めてはいなかったでしょう。坂上はこれまでも放言を繰り返してきたので、それが積もり積もって今回、批判が殺到したという面もあるでしょう」
芸能関係者は、今回の坂上発言のマズさについてこう語る。
「文字だけを読むと確かにひどい発言ですが、野々村と坂上の関係やキャラを考える必要はあります。野々村は長年レギュラーを続ける『世界・ふしぎ発見!』(TBS系)でもイジられ役ですし、坂上も、『助かって良かった』という気持ち表す照れ臭さの裏返しで、ああいうセリフを言ったはず。お互いテレビ的なキャラを貫いたという見かたは出来ます。
ただ、コロナがこれほど長きにわたって関心を集め、多くの人が実際にコロナにかかって苦しんでいる現状を考えると、命を落としかけた野々村のことを茶化すのは明らかにマズかった。『バイキングMORE』は毎日3時間の生放送ですから、そのあたりを判断する感覚が鈍ってくると、今後、視聴者離れにつながっていく可能性もあります」
いずれ「誰も応援してなかったよ」と言われてしまうのは、坂上や番組のほうかもしれない。
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