いつかは月に庭付き一戸建てが欲しい。
地上とは違い重力の影響を受けない環境で、さまざまな科学実験を行っている国際宇宙ステーション(ISS)。これからISSでは、擬似的な岩石や土を月面にあるレゴリス(堆積物)に見立て、その材料で3D印刷をする実験が行われるようになります。
オンデマンドで月に家が建つように
そのプロジェクトは「レッドワイヤー・レゴリス・プリント(RRP)」と呼ばれており、印刷機は8月10日打ち上げの補給ロケットで到着しました。
もしこの実験がうまくいけば、未来の宇宙探査において、レゴリスを使った居住設備などの建造物をオンデマンドで印刷できるようになるかも? と期待が寄せられています。
Redwire Regolith Print tests 3D printing using simulated regolith (loose rock and soil found on the surfaces of planetary bodies). Results could help determine the feasibility of regolith as a raw material and 3D printing as a technique for construction on future space missions. pic.twitter.com/MIYq2z5smw
— ISS Research (@ISS_Research) August 10, 2021
印刷時の細かな数値も大事
3Dプリンターは、宇宙でのインフラ整備をビジネスにしているREDWIRE社の製品をNASAのマーシャル宇宙飛行センターが共同で改造したものが使われ、人類を再び月に送るアルテミス計画を支援するために実証実験が行われます。ISSでは印刷の成功/失敗だけでなく、素材を引っ張ったり圧縮したり曲げたりしたときの細かな数値を取得することも目的になっています。
地球上の3D印刷では、すでに住宅やコンクリートの橋が作られているので、技術面はクリアしています。あとは月面のレゴリスといった材料が、月の低重力で使えるかどうか、なんですね。
いつか長期探査や入植地を作るから
月だけでなく火星にも、水や氷が埋まっているといわれており、人類はいつの日かそれらの惑星で暮らすことになるかもしれません。現地の素材で印刷ができれば、地球から建材などを輸送する手間暇がゼロになり、工具や職人も不要になります。となれば、膨大なコストカットに繋がるわけです。
ちなみに人類は、これまで月に96袋もの糞尿を含む約180トンものいろいろな「ゴミ」を捨てていたという話もありました。ついでにそれらも建造物にリサイクルできたら良いんですけどね。