金星の分厚い雲を透視、「熱された鉄」のような地表が初めて撮れた!

GIZMODO

大陸や平野を確認!

NASAの太陽探査機パーカー・ソーラー・プローブが、金星表面の可視光線での撮影に初めて成功しました。撮影できた画像からは、今まで雲で見えなかった金星の地形が確認できました。

厚い大気を透過して撮影成功

これら新たな画像は、パーカーが2021年、金星上を4回目に通過したときに撮影されたものです。パーカーは金星の重力を使って太陽に近づいていたんですが、そこで撮れたデータは金星探査にも貢献する内容だったのです。

NASAのプレスリリースによれば、パーカーに搭載されたWISPR(Wide-field Imager for Parker Solar Probe)は、金星の夜側(太陽が当たっていない側)全体を、可視光線と近赤外線の波長で撮影しました。興味深いのは、WISPRは太陽コロナ(太陽の周りのプラズマ部分)を撮影する目的で作られたのに、金星の厚い大気の透視もできたってことです。

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暗い部分は温度の低い高地、明るい部分は暖かい低地
Image: NASA/APL/NRL

「金星は空で3番めに明るい天体ですが、われわれは最近までその表面がどうなっているか、多くを知りませんでした。厚い大気に視界を遮られているためです」。この発見についての論文の主著者で、米国海軍調査研究所の理論物理学者、Brian Wood氏はプレスリリースの中でコメントしています。「今、われわれは初めて、金星の表面を可視光線で宇宙から見ているのです」

WISPRの画像によって、金星上の大陸の広がりや平野、台地といった地形が確認できました。NASAはこのデータが、金星の地質や歴史に関して価値ある情報源になりそうだとしています。

可視光線のうち、一番波長の長い部分は金星の厚い雲を透過できるので、WISPRはその光を金星の夜側(その波長が太陽の光でいっぱいにならないとき)のかすかな輝きとして捉えました。画像の明るい部分は温度の高い場所、暗い部分は温度の低い場所です。「金星の表面は、夜側でも約860度あります」とWood氏。「非常に熱いので、金星の岩石の表面は見た目にも光っていて、まるで鍛冶場から取り出した鉄のようです」

金星の謎を知るために大きな進歩

WISPRで金星表面が撮れそうだと発覚したのは2020年7月、パーカーの金星への3回目となるフライバイのときでした。部分的に撮れた金星の画像を見たチームは驚き、次にパーカーと金星が近づくタイミングに向けて準備を進めていました。4回目のフライバイでは撮影条件がしっかり整い、パーカーは金星の夜側を素早く通過しながらも、その全体像を捉えることに成功しました。

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Video: NASA Goddard / YouTube

チームは1990年代のNASAのマゼラン・ミッションで捉えたレーダー画像などの既存の地形図と、今回撮影した新たな画像を比較したりもしました(訳注:上の映像の1:24あたりで見られます)。確認できた地形には、アフロディーテ大陸やテルース・レジオ台地、アイノ・プラニシア平野などがあります。地形以外では、酸素原子が金星の大気にぶつかってできるハロも確認できました。

新たなデータは他の研究者にも興味深いと思われ、たとえば鉱物の光は種類によって波長が違うので、金星表面の鉱物の検知にも役立つかもしれません。また金星の歴史や、金星の火山活動がその進化や厚い大気にいかに貢献したか、といったことを紐解くのにも役立つかもしれません。

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