意外な使い道がありました。
オレゴン州ポートランド在住のMichael Fuller氏は、ホームレスの人々の保護に声をあげる人権派弁護士。最近、気を揉んでいたのは、市の清掃委託業者Rapid Response Biocleanの「掃除」によって、ホームレスの人たちの所有物が勝手に捨てられてしまう問題。それをやめるよう数週間かけて市に申し入れていたものの、ポートランド市からの対応はなし。そこで登場したのがAirTag。Appleの紛失防止タグです。
オレゴン州では、明らかに誰かが使用していると思われるものを勝手に捨てることはできず、もし没収したとしても30日間は保存することになっています。つまり、ホームレスの人々が使っている傘や手袋を、勝手にゴミとして捨ててはいけないのです。
主張を聞き入れてくれない市に対して、Fuller弁護士はAirTagで対抗。持ち主の了解を得て、コーヒープレスやスピーカーなどにAirTagを装着。その後、AppleのFind My機能で「なくなった」モノをトラッキングし、ゴミ処理場にあることを突き止めました。
BREAKING – Last week we secretly put location trackers on various personal items swept by the City of Portland from Laurelhurst Park.
ORS 203.079(d) required the City to store all personal items taken from Laurelhurst Park for 30 days so their owners could retrieve them. pic.twitter.com/7LZyHQf1KY
— Michael Fuller (@UnderdogLawBlog) August 4, 2021
勝手に掃除されて保有物を捨ててしまうことは、命に関わる可能性もあります。2019年に亡くなったあるホームレス女性は、死亡の1週間前に市の「清掃」によって所有していた薬を破棄されていました。彼女の家族は、死亡の原因がここにあるとしてポートランド市を相手取って訴訟をおこしています。
今回、Fuller弁護士がAirTagのトラッキング機能を使ったことで、ホームレスの人たちの所有物が勝手に捨てられていたことが裏付けられました。Fuller弁護士は、ポートランド市に対して単純に法を守ってほしいだけだとコメントしています。
AirTagの使い方、まだまだありそうですね…。