火星でヘリコプターを飛行させたNASAの次なるミッションとは?

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2021年4月、NASAが開発した無人ヘリコプター「インジェニュイティ」が火星で飛行し、人類史上初めてとなる地球以外の惑星での動力飛行という偉業が達成されました。NASAがこのようなヘリコプターを今後どのように進化させていくのかについて、ロボット工学ライターのエヴァン・アッカーマン氏が解説しています。

JPL’s Plan For The Next Mars Helicopter – IEEE Spectrum
https://spectrum.ieee.org/the-next-mars-helicopter


アッカーマン氏によると、NASAはインジェニュイティの成功により、火星での飛行が可能であるだけでなく、実用的で、科学的価値をもたらすことを証明したとのこと。NASAはインジェニュイティに続いて、新たなヘリコプターを開発しようとしています。NASAが新型ヘリコプター「火星科学ヘリコプター(MSH)」の構想をスタートさせたのは、インジェニュイティの設計とテストがほぼ終了の段階に入った約3年前。インジェニュイティの開発を行ったNASAのジェット推進研究所(JPL)エイムズ研究センターのロボット工学者、無人航空機開発企業のAeroVironmentが集まり、火星探査車のローバーのサポートを必要とせずに、単独で火星の表面を飛行できるヘリコプターを作成しようと研究を始めました。空中を移動することにより車両が到達できないような地点や広範囲の探索を可能とし、地表からサンプルを採取したり、飛行する高さに応じて異なる地表の写真を撮影したりすることができる機械は科学者らにとって大きな目標でした。

開発者らが設定したMSHの任務は大きく分けて2つ。1つは約35億年前に川や湖があったとされる地点「マゥース谷」を調査し、アームとマイクロドリルを使用してサンプルを採取することで、もう1つは中性子分光計や赤外線センサーなどで広い範囲の地表データを測定すること。これらの任務を解決するべく設計されたMSHの画像が以下。MSHは総直径が約4m、質量31kg、6つのプロペラを備えた、いわゆる「ヘキサコプター」の構造をしています。最高速度は約30m/sで、上部に設けられたソーラーパネルで充電することで最大10kmまで飛行可能とのこと。充電時間は火星の1日分です。


MSHの設計はインジェニュイティが火星で飛行する前の段階から行われていたため、インジェニュイティの飛行から比較的低解像度の画像でも安全な着陸場所を見つけることができることや、風が強い状況でどのような飛行を行うことができるかなど、学んだ点も多くあるとのこと。JPLのチーフエンジニアであるボブ・バララム氏は「私たちが難しいと考えていた問題のいくつかは、それほど難しいものではないようです。制御機能に関しては、インジェニュイティが期待以上のものを見せてくれました」と語ります。

バララム氏は「インジェニュイティはヘリコプターが火星で何ができるかを簡単に示したに過ぎません。火星で何ができるかを想像し、実現することは私たち全員にとっての課題です。潜在的な幅広い任務に対してMSHをより最適化していくことが、私たちの次のステップです」と述べました。


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2021年08月12日 07時00分00秒 in サイエンス, Posted by log1p_kr

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