メタバース は、すでに始まっているインターネットの進化だ:長い目で見ている専門家たち

DIGIDAY

テクノロジー業界の新しい流行語として、メタバースへの注目がにわかに高まっている。しかし、すでにメタバースの実現を目指している人々にとっては、インターネットの永続的で広大な「後継版」というメタバースの概念は、ハイプサイクルの浮き沈みを超越している。メタバースは単なる流行語ではなく、すでに始まっているインターネットの進化だと考えているのだ。

7月22日に公開されたヴァージ(The Verge)のインタビューで、Facebookのマーク・ザッカーバーグ氏が「メタバース企業」に移行すると発言したことをきっかけに、メタバースは主役の座に躍り出た。一部のメディア評論家はこの盛り上がりに懐疑的な目を向け、独自の見解を示している。ジム・クレイマー氏は7月29日、CNBCの番組で、特に不可解な定義を披露した。「メタバースはホログラムだ」というものだ。

現実以上の機能を持つ仮想世界

メタバースは新しい概念でもホログラムでもないが、簡潔に説明するのは難しいかもしれない。ロブロックス(Roblox)のブランドパートナーシップ担当バイスプレジデント、クリスティーナ・ウートン氏も「あまりに新しいもの、あまりに異なるものを理解するのは難しい」と述べている。「徐々に慣れてくると、なぜそれが重要なのか、なぜそれが現実なのかがわかってくると思う」。

メタバースのもっとも身近な入り口は多人数同時参加型ゲームだ。フォートナイト(Fortnite)のプレイヤーは2020年、トラヴィス・スコットのバーチャルコンサートで、原始的なメタバースを初めて体験した。フォートナイトの自由な世界で、カスタムコードを入手したプレイヤーがバーチャルコンサートを同時体験できるというものだった。1200万人以上がコンサートに参加し、メタバースの可能性を示す事例として今でも引き合いに出されている。

しかし、本物のメタバースに比べると、トラヴィス・スコットのコンサートは洞窟の壁に映る影にすぎない。プレイヤーが一度に交流できるのは最大49人に限られ、エピック・ゲームズ(Epic Games)のアカウントを持っている人しか参加できなかった。本物のメタバースのような相互運用性はなかった。デジタルアイテムを手掛けるエピック(Epik)のCEO、ビクター・デイビッド氏によれば、メタバースははるかに広大で、ユーザーがデジタルアイデンティティを脱ぎ捨てたり、体験を控えることなく、さまざまなプラットフォーム、仮想世界を行き来できるものだという。つまり、現実世界とまったく同じ機能、さらには、それ以上の機能を持つバーチャルな世界ということだ。「もし次回、トラヴィス・スコットがフォートナイト、ロブロックス、マインクラフト(Minecraft)など、あらゆる場所で同時にコンサートできたらどうだろう?」。

メタバースに群がる企業たち

永続的な仮想世界というアイデアが人々に受け入れられるにつれて、一見無関係なサービスや製品にメタバースの要素を加えようと躍起になる企業も現れており、懐疑派からやり玉に上げられている。コカ・コーラ(Coca-Cola)のような企業がテーマのある非代替性トークン(NFT)をオークションに出品することに関心を持つ理由は、素人目にはよくわからないものだ。

メタバースに特化した不動産投資ファンド、リパブリック・レルム(Republic Realm)を率いるジャニーン・ヨリオ氏は「これらの事例が理にかなっていない場合、あるいは、ビデオゲームやブロックチェーン、メタバースの関連事業をまったく持たない企業がこれらについて話し始めた場合であれば、人々が言っていることは理解できる」と話す。「確かに、私たち皆がそのことには戸惑っているが、私が思う市場の方向性が損なわれるわけではない」。

実際、ヨリオ氏をはじめとするメタバース関係者は長い目で見ている。ゲームの成長や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによるデジタル生活への移行など、広範な文化的変化が本格化しており、もはやメタバースは不可避だと考えているのだ。「私の子供たちは毎日何時間も遊んでしまうため、文字通り、彼らからコンピューターを引き剥がさなければならない」とヨリオ氏は話す。「この行動あるいは親近感がいずれ消え去るとは思っていない。私たちにとってスマートフォンがそうであるように、彼らのソーシャリゼーションの一部と化している」。

参加するには今が絶好の機会

ザッカーバーグ氏がメタバースを支持した直後から、最新の流行に便乗しようと、新しいスタートアップ、ベンチャーキャピタル、自称専門コンサルタントが続々と現れている。しかし、メタバースを何年も追い続けてきた人々に言わせれば、メタバースの最終的な展開がこうした企業の成功や失敗、あるいはメタバースへの関心に左右されることはない。メタバースは間違いなく実現すると関係者は信じている。そして、参加するには今が絶好の機会だと考えている。

「風変わりなアイデアは必ず反発を受ける。たとえば、誰が自宅の一室を貸し出すのだろうと最初は言われていた」とデイビッド氏は語る。「風変わりなアイデアはバカげているように見えるが、結局のところ、理にかなっている」。

[原文:With the Metaverse hype cycle at full blast, experts take the long view

ALEXANDER LEE(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:)

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