英国発ビューティブランド スキンプラウドが Twitter をあえて選んだ理由:メンタルヘルス の啓発をサポート

DIGIDAY

数々のソーシャルメディアプラットフォームが存在するなか、英国を拠点とするスキンケアブランド、スキンプラウド(Skin Proud)は、Twitterの世界に参入した。

ネガティブキーワードの投稿に対してボットでアドバイス

5月のメンタルヘルス啓発月間の一環として、スキンプラウドは、メンタルヘルスの支援団体サッドガールズクラブ(Sad Girls Club)の創設者エリス・フォックス氏や、多彩なアーティストであるバニー・マイケル氏と共同で、ポジティブな気持ち、セルフケア、ハピネスを促進するためのスキンポジティブなTwitterチャットボットを作成した。

しかしビューティ業界では一般的に、Twitterは人気のプラットフォームとはみなされていない。たとえば、大手ブランドのロレアルパリUSA(L’Oréal Paris USA)は、インスタグラムのフォロワー数が960万人であるのに対し、Twitterのフォロワー数は50万人強を誇るにすぎない。スキンプラウドのグローバルマーケティングディレクターであるノラ・ズカウスカイテ氏は、このボットは5月31日以降も活動を続ける「可能性が高い」としている。

自社で制作したこのボットは、スキンケアや肌ストレスに関連するネガティブキーワードを使ったTwitterの投稿をターゲットにしている。その投稿に対し、デトックス、睡眠、充電という考えを軸に、メンタルアドボケーターのふたりからヒントやアドバイスを提供する。また、サッドガールズクラブからの追加サポートとして、クライシスホットラインの番号も提供される。このボットはスキンプラウドのアカウント @IAmSkinProud と連動している。

創業2年目のスキンプラウドは、シアテ・ロンドン(Ciaté London)やロッティ・ロンドン(Lottie London)の姉妹ブランドで、いずれも所有者は親会社となるブランドエージェンシー・ロンドン(Brand Agency London)と創業者のシャーロット・ナイト氏である。このマスブランドは、エイソス(Asos)、ウォルマート(Walmart)、アーバン・アウトフィッターズ(Urban Outfitters)などの小売店を通じて販売されており、製品価格は11ドル(約1430円)から16ドル(約2080円)だ。

あえてTwitterを選んだ理由

「(インディーズブランドとして)この業界で差別化を図れる唯一のものは、創造性だ。私たちはつねに、考え方や活動の限界を押し広げている」と、ズカウスカイテ氏は語る。シアテ・ロンドンやロッティ・ロンドンのマーケティングも率いているズカウスカイテ氏は、例として、これらのブランドがメタバースNFTQRコードによるバーチャルトライオンに参入したことを指摘した。「ビューティは飽和状態のカテゴリーであり、セレブリティに支持された大手コングロマリットが存在する。だが、それは問題ではない。(このTwitterのボットは)現状を打破し、会話を支配し、大手ブランドと同じ領域に存在して、創造性という意味で『私たちは同じレベルにいる』と言うことなのだ」。

スキンプラウドがその取り組みに関してTwitterを活用することにしたのは、Twitterの会話がリアルタイムで行われることと、Twitterの本来のコンセプトは、コミュニティ主導の既存の会話にブランドが参加できるという、街の広場のような役割を果たすことだからだと、ズカウスカイテ氏は述べた。

TikTokやYouTubeと比較すると、TwitterはスキンプラウドのZ世代のオーディエンスには好まれていないプラットフォームだと思うかもしれないが、Twitterは2021年に、米国において過去1年間に送信されたツイートの半分近くが18歳から24歳のユーザーによるものであることを誇っている。

「サッドガールズクラブは、世界中のミレニアル世代とZ世代の女性や少女をサポートするデジタルコミュニティを作るために活動している。今回のスキンプラウドとの提携は、オンラインでメンタルヘルスへの偏見をなくし、会話を変化させる新たな機会を与えてくれた」とフォックス氏は述べた。

会話に参加しポジティブな貢献を目指す

それでもTwitterは、ある意味で大胆な選択である。イーロン・マスク氏によるTwitter買収の可能性をめぐる最近注目の出来事とは別に、Twitterは不安への影響や、プラットフォーム上でのドキシング(ネット上に他人の個人情報を同意なく晒すこと)とハラスメントの存在をめぐり、さまざまな問題や糾弾を経験しており、苦情も多い。有名人やブランドもまた、ここ数年でこのプラットフォームを避けている。

ただロレアルグループ(L’Oréal Group)のセラヴィ(CeraVe)でグローバルデジタル部門を率いるアダム・コーンブルム氏が以前Glossyのインタビューで語ったことによれば、このプラットフォームは学者や医療専門家のあいだでは人気があるため、セラヴィのような一部のビューティブランドは積極的に活動しているという。

「私たちはこのボットをポジティブな貢献だと考えている」とズカウスカイテ氏は話す。「会話を邪魔しようとするのではなく、人々に役に立つと思えるようなヒントをシェアしようとしている。より大きな会話やタイムリーな会話の一部となることであり、よりよい理念をサポートすることだ」。

何よりも大切なのは人々の意識を向上させること

また、ブランドにとってメンタルヘルスの啓発は、製品の宣伝をしながら本物であるということの利害が対立するため、ナビゲートしにくい分野でもある。そのためズカウスカイテ氏は、ポジティブな気持ちを広め、意識を向上させること以外には、この取り組みに関連する具体的な重要パフォーマンス指標はないとしている。

しかし彼女は、スキンプラウドはひとつの理念だけに帰するものではないと述べ、同ブランドでは6月にLGBTQ+のアクティビティを実施すること、クルーエルティフリーであることを指摘した。スキンプラウドは、フォックス氏とマイケル氏の関与に対して対価を支払い、ボットを自社で構築している。「物事を大きく進歩させるのは、予算の大きさではなく、クリエイティビティだ」とズカウスカイテ氏は語った。

Twitterボットに加えて、スキンプラウドでは、合わせて20万人近いフォロワー基盤のあるインスタグラム、TikTok、Discordのページにもそのメンタルヘルスのヒントを再投稿する予定だ。以前のGlossyの報道では、ロッティ・ロンドン、シアテ・ロンドン、スキンプラウドはCovid-19によって2020年は前年比20%の売上減となったが黒字を維持した。当時、ナイト氏は2021年に事業全体の売上が前年比30%増になると予想していた。

「何人もの人を元気にし、注意を引きつけ、自分自身と向き合って心を落ち着けるために数分ほど時間を使うように(奨励)することができるのであれば、それほど大切なことはない」と、ズカウスカイテ氏は述べている。

[原文:Skin Proud launches Twitter bot to support mental health awareness]

EMMA SANDLER(翻訳:Maya Kishida、編集:黒田千聖)

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