Macのファイルマネージャーである「Finder」は、ファイルの移動や整理を行なううえで欠かせない存在です。多くのMacユーザーは、普段それほど意識せずにファイルの操作を行なっていると思いますが、効率的な操作を心がけることで日々の作業効率は上がります。ここでは、定番の操作でありながら作業効率アップを図れる数々のFinder操作テクを紹介しましょう。ベテランMacユーザーでも、案外知らない操作があるかもしれませんよ。
そもそもFinderって何?
Finderは、Macのファイル操作をする特別なアプリです。Macが起動するとFinderも自動的に起ち上がり、基本的にはMacの使用中は常に動作しています。ファイルやフォルダをユーザーに見えるようにして、ドラッグ&ドロップで移動したりコピーしたりといった操作ができるのは、すべてFinderのおかげなのです。
なお、古いMac OSでは、Finderとシステムは分離不可能な関係でしたが、現在のmacOSではアプリとして独立しており、システムをシャットダウンさせずにFinderだけ再起動することも可能です。
ファイルの基本的な操作、漏れなく把握している?
Finderの操作テクニックをマスターするために、まずは基本的な操作をチェックしていきましょう。いずれも古くからある定番の操作ですが、Mac歴が長いユーザーでも意外と知らないものがあるかもしれません。抜け落ちがないか確認してみましょう。
1.キーボードとの組み合わで複数のファイルを選択できる
Finderでは、[command]キーを押しながらクリックしていくことで複数のファイルを選択できます。また、Finderウインドウの表示方法を「リスト表示」「カラム表示」「ギャラリー表示」のいずれかにしている場合、1つ目のファイルをクリックしたあとに[shift]キーを押しながら別のファイルをクリックすることで、1番目に選んだファイルから2番目に選んだファイルまでの範囲をすべて選択できます。
なお、すでに選択されている状態から特定のファイルだけを除外したいときは、[command]キーを押しながらそのファイルをクリックします。
2.ファイル名のタイプでもファイルを選択できる
ファイル名をタイプ入力すれば、キーボードだけでファイルを選択できます。ファイル名をすべて入力する必要はありません。たとえば、開いているウインドウ内に「M」から始まるファイルが1つだけしかなければ、「M」だけタイプすればそのファイルが選択されます。
日本語の場合は入力して変換する手間が発生してしまいますが、それでもタイプ入力によりキーボードだけでファイルを選択することが可能です。
3.ドラッグ&ドロップは同一ストレージかどうかで挙動が変わる
ファイルをドラッグしたとき、そのファイルが単純な移動になるのか、それともコピー(複製して移動)になるのか、混乱している人もいるのではないでしょうか。実は、ドラッグ&ドロップの操作は、ファイルを移動しようとする先がどこかで、挙動が変わります。
移動しようとする先が同じストレージ内だったときは、ドラッグ&ドロップは移動になります。たとえば、内蔵ストレージ内にあるファイルを同じ内蔵ストレージの別のフォルダに移動させようとしたときです。このとき、[option]キーを押しながらドラッグ&ドロップすることで、複製しながら移動することが可能です。
移動しようとする先が別のストレージだった場合、ドラッグ&ドロップはコピー(複製しながら移動)になります。たとえば、内蔵ストレージ内にあるファイルを外部ストレージに移動するときです。もし単純に移動だけしたい場合は、[command]キーを押しながらドラッグしましょう。
4.ドラッグを途中でやめたいときは[esc]キー
ドラッグ操作中に、ファイルの移動をキャンセルしたくなることがあります。いったん移動し終わってから操作を取り消してもいいですが、ドラッグ操作のキャンセルも覚えておくといいでしょう。
方法は2つあります。1つは、ドラッグ中に[esc]キーを押す方法。もう1つは、画面上部にあるメニューバーにファイルをドラッグしてマウスを離す方法です。どちらもドラッグ操作を行なう前の場所にファイルが戻ります。
5.コピー&ペーストでファイルを移動できる
ファイルはコピー&ペーストで複製することができます。まず、ファイルを選択してコピーし、複製したい階層を表示してからペーストすると、ファイルが複製されます。コピーやペーストは[編集]メニューから選ぶこともできますが、[command]+[C]キーや[command]+[V]キーのほうが慣れているという人も多いでしょう。
なお、複製ではなく単純に移動したい場合、Macではカット&ペーストでの操作ができません。Macの場合はカット&ペーストではなく、ペースト時に[option]キー+[command]キー+[V]キーのショートカットを押すことで移動になります。
6.スプリングローディングは[スペース]キーで高速化
ファイルのドラッグ中、フォルダに重ねた状態でしばらく待つとそのフォルダが自動的に開きます。これは「スプリングローディング」という機能です。
スプリングローディングが発動するまでの時間は、「システム環境設定」で設定できます。[アクセシビリティ]パネルを開いて左の欄から[ポインタコントロール]を選び、[スプリングローディングの時間]スライダで調整します。また、ここでチェックボックスを外すとスプリングローディングをオフにすることもできます。
なお、ファイルをフォルダに重ねたとき、ドラッグしたまま[スペース]キーを押せばすぐにフォルダが開きます。[スペース]キーを押しながら次々に開いていくのが効率化のコツです。
7.ドラッグ中に背面のウインドウを前面に表示
ファイルをドラッグ&ドロップで移動したいとき、移動先のウインドウが他のウインドウの裏に隠れていることがあります。こんなときにもスプリングローディング機能が役立ちます。裏にあるウインドウの見えている部分にファイルをドラッグで重ね続けると、やがてそのウインドウが前面に表示されます。
8.Mission Controlはドラッグ中でも呼び出せる
ウインドウの一部が見えていれば、スプリングローディイングの機能を使ってそのウインドウを前面に出すことが可能です。しかし、移動先のウインドウが完全に隠れている場合はどうすればいいでしょうか。そんなときは、ドラッグ中にMission Controlを呼び出すことでウインドウ一覧を表示させ、目当てのウインドウにドロップするといいでしょう。
Mission Controlはキーボードショートカットやホットコーナー(画面の四隅に特定のアクションを割り当てる機能)で呼び出すことができます。あらかじめ「システム環境設定」の[Mission Control]パネルで設定しておきましょう。
9.ファイルをプレビューしたいならクイックルックを活用
画像ファイルやテキストファイル、PDFファイルの内容を確認したいときは、わざわざ開くよりも「クイックルック」を使いましょう。操作は簡単、ファイルを選んで[スペース]キーを押すだけです。クイックルックを行なうと、画面の中央にプレビューウインドウが開いて内容を確認できます。確認が終わったら、再度[スペース]キーを押せばクイックルックが終了します。
Finderウインドウの表示モードは状況に応じて切り替えよう
Finderでファイルやフォルダを表示するウインドウのことを「Finderウインドウ」と呼びます。FinderウインドウはOSのバージョンアップのたびに少しずつブラッシュアップが行なわれ、現在は非常に使いやすいものになっています。さらに、ぱっと見は気づきにくい便利な操作テクニックもたくさんありますので、ここでまとめてご紹介しましょう。
1. Finderウインドウの表示モードを使い分ける
Finderウインドウは、「アイコン」「リスト」「カラム」「ギャラリー」という4種類の表示モードがあります。それぞれメリットがありますので、状況に合わせて臨機応変に切り替えるのが効率化のコツです。各表示モードの主なメリットは次のようになります。
Finderウインドウの表示モードは、[command]キー+[1]キーから[command]キー+[4]キーまでキーボードショートカットが用意されているので、いつでもパッと切り替えられるように覚えておくといいでしょう。
2. Finderウインドウのタイトルバーで階層を変更できる
Finderウインドウの一番上にはフォルダ名が表示されます。このフォルダ名の部分を副ボタンクリック(または[control]キー+クリック)すると、そのフォルダが格納されている上位階層を遡って一覧表示できます。また、そこからフォルダを選べば、選んだところに表示が切り替わります。
3.タイトルバーのダブルクリックでFinderウインドウをDockに格納
Finderウインドウが邪魔なときは、ウインドウ左端の3つ並んだボタン群の中にある、黄色い[-]ボタンを押すことでDockに格納できます。さらに、「システム環境設定」の[Dockとメニューバー]パネルを開き、[ウインドウタイトルバーのダブルクリックでしまう]の項目にチェックを入れると、文字どおりタイトルバーのダブルクリックでDockに格納できるようになります。
他のボタンがないところならタイトルバーのどこでも反応するので、ざっくりとしたマウス操作でもよくなり作業が効率化します。
4.Finderウインドウを画面の左側半分にリサイズ
Finderウインドウの左上にある緑色のボタンを押すと、そのウインドウがフルスクリーン表示になります。しかし、マウスポインタを緑色のボタンに重ねたまましばらく待つと、ボタンの下にいくつかの項目が表示されます。
項目の中から[ウインドウを画面左側にタイル表示]を選ぶと、フルスクリーンで2分割表示を行なう「Split View」というモードを呼び出しますが、Split Viewモードにしたくないときは[ウインドウを画面左側に移動]を選ぶといいでしょう。操作したウインドウのサイズが画面の半分になり、左側へと移動します。
別のウインドウを画面右側に配置したいときは[option]キーを押しながら緑色のボタンにマウスポインタを重ねてみましょう。[option]キーを押している間だけ[ウインドウを画面右側に移動]という項目が表示されます。
これらの機能を使うことで、2つのウインドウをキレイに並べることができます。ファイルの整理をするときなどに重宝するはずです。
5.すべてのFinderウィンドウを一度に閉じる
Finderで複数のウインドウを開いてしまったとき、わざわざ1枚ずつウインドウを閉じるのが面倒に感じたことはないでしょうか? 「ウインドウを閉じるときは赤色のボタン」と覚えている人は多いと思いますが、このとき[option]キーを押しながらクリックすることですべてのFinderウインドウを閉じることができます。
6.タブの切り離しと結合を自在に操作
Finderウインドウのタブは、ウインドウの外にドラッグすることで別のウインドウとして切り離すことができます。ウインドウ間でファイルを移動させたいときは、2つのウインドウを並べたほうが操作しやすいはずです。
しかし、画面がウインドウだらけになると見た目が雑然としてきます。そこで覚えておきたいのが、すべてのFinderウインドウを1枚にまとめるというテクニックです。メニューバーの[ウインドウ]メニューから[すべてのウインドウを結合]を選ぶだけです。
7.タブの表示をキーボードショートカットで切り替え
Finderのタブは、[control]キー+[tab]キー、または[shift]キー+[control]キー+[tab]キーで表示を切り替えられます。こうしたキーボードショートカットを覚えておくと、ポインタをあちこちに移動させる回数が減り、作業が効率化します。ぜひ覚えておきましょう。
8.フォルダの中身を新規タブで開く
通常、Finderウインドウでフォルダをダブルクリックすると、そのウインドウの表示内容が切り替わってフォルダの中身を表示します。しかし、今開いているウインドウはそのままの状態で、フォルダを別のタブとして開きたいこともあるのではないでしょうか。
フォルダを副ボタンクリック(または[control]キー+クリック)してコンテキストメニューから[新規タブで開く]を選ぶ方法もありますが、もっと簡単な方法もあります。[command]キーを押したままフォルダをダブルクリックするだけです。複数のフォルダを選択すれば、すべてまとめて開くことも可能です。
9.特定の場所を一発で表示するキーボードショートカット
Macの中には、[ホーム]フォルダや[書類]フォルダなど、どのMacにも必ず存在するフォルダがいくつかあります。これらのフォルダの多くは、表示するためのキーボードショートカットが用意されており、覚えておくと目的のフォルダに素早くアクセスできるようになります。
とりわけ[コンピュータ][アプリケーション][ホーム][書類]の4つは、呼び出す頻度が比較的多いと思います。キーボードショートカットを覚えておくことでFinder操作の効率化につながるはずです。
Finder操作の効率化は「チリも積もれば…」が肝心
キーボードとマウス操作の組み合わせ技は、Macを使い始めたばかりだと把握しきれないかもしれません。キーボードショートカットも、数が多すぎて覚えるのが大変だと感じると思います。しかし、これらの操作を覚えていくことは、確実に操作効率のアップにつながります。
1つ1つの操作で減らせる手間はわずかですが、何事も「ちりも積もれば山となる」です。最初からすべてを覚えようとする必要はありませんが、日頃から「知らない操作は積極的に覚えよう」と意識しながら使うことで、段々と操作が素早くなっていくはずです。
コメント