ワクチン接種が進み、社会生活の再開に向けた動きが着実に進むなか、ピンタレスト(Pinterest)が減量関連広告を禁止する。7月1日に発表された新ポリシーでは、減量を謳う文言や画像の含まれる広告が全面禁止されることになった。
新ポリシーではさらに踏み込み、減量やダイエット商品に関する利用者の声、特定の体型を理想化するような文言や画像、BMI(体格指数)への参照、着用または皮膚への塗布による減量効果を主張する商品なども禁じる。ブランドアナリストの観点からすると、広告が発信するメッセージに対して責任を持ち、儲けよりも人を優先させるためには正しい方向への一歩前進である。
「ユーザーの心の健康を第一に考えて」
マーケティング支援企業であるメタフォース(Metaforce)の共同創業者でブランドコンサルタントのアレン・アダムソン氏は「何が適切なコンテンツなのかについてプラットフォームが立場を明確にし、儲け主義に走らないことの重要性を示すものだ」と話す。
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全米摂食障害協会(NEDA)の指導と研究に基づく今回の減量広告ポリシーは、もともと厳格なピンタレストの広告規則への追加事項として策定された。これまでも、ピンタレストではボディシェイミング(体型や外見を馬鹿にしたり傷つけたりすること)、食欲抑制のためのピルやサプリメント、減量手術、非現実的な美容効果などの広告を許可していない。政治広告、成人向けおよびヌードコンテンツ、たばこの広告も禁じられている。
ピンタレストによれば、これらのトピックに関連する広告が提出された場合には却下される。広告主には通知が送られ、方向性を正すチャンスが与えられる。同社のポリシー責任者、サラ・ブロンマ氏は「1年以上ぶりに社会生活に戻ろうというところで多くの人がプレッシャーの高まりを感じていることを承知している」という。
別のピンタレスト幹部は、これは広告収入よりユーザーを大切にするため、つまり「ユーザーの心の健康を第一に考えて」の施策だと話す。
業界全体の変化を起こすか
この前例は、ピンタレストを超える可能性がある。ブロンマ氏は、プラットフォーム上から有害になりうるコンテンツをすべて禁じ、自分たちが発信するメッセージについて広告主に熟考を促すように、ほかのプラットフォームも後に続いてほしいと願う。「責任あるメディアという課題は、単に減量に限らず、さまざまな問題について業界全体で検討が進められているところだ」とブロンマ氏は語る。「(ピンタレストが)業界内で単独で変化を起こしたり、変化を促進したりすることはできない」。
アダムソン氏はピンタレストの新ポリシーが、広告を審査する責任をソーシャルメディアプラットフォーム側に課し、プラットフォームを「怪しげなセールスマンが何でも投稿できる」場所にしないという、責任あるメディアの基準を打ち立てるものだと話す。
また、詐欺的な手口でダイエット用サプリメントの販促を行っていると非難を浴びることの多いインフルエンサーやクリエイターに責任を意識させることもできるだろう、とも述べた。
「長い道のりの第一歩を踏み出したところだと思う」。
[原文:Not chasing every dollar: What Pinterest’s new weight loss ad policy means for advertisers]
KIMEKO MCCOY(翻訳:SI Japan、編集:分島 翔平)