汚れた場所って、あんまり積極的に見たくはないものだ。でも汚さが一周回って、「なんかこれ、逆にすげーぞ!」となっていることも結構ある。大阪の京橋駅前にある公衆電話置き場が、まさにそれだった。
オーラがあり過ぎる公衆電話置き場
大阪にあるJRの京橋駅。北口改札を抜けてすぐのところに、それはあった。
すぐ横には商店街のアーケードが伸びていて、全体的にゴチャッとした場所ではある。ただその中にあっても、この公衆電話置き場は異彩を放ちまくっていた。
「ボロい」という一言では言い表せない。この場所が歩んできた歴史の重みが伝わってくるような気がして、前を通るたびに何らかの力で吸い寄せられるような感覚を覚えた。
薄汚れた壁、落書きされた柱、ガム跡だらけの床。三方を壁に囲まれている閉塞感もあって、陰鬱な雰囲気が漂う。荒廃した近未来都市を思わせる、その手触り感が好きだった。
LivLAというのは首都圏で多く見られるグラフィティで、大阪ではまだここでしか見たことがない。落書きを肯定するわけではないけれど、特別な場所感をより一層引き立たせている。
でもこういう都会の汚い場所って、近い将来かならず取り壊される運命にあるのだ。ここもいつまで持つかなあ、なんて思いながら久しぶりに見に行ってみたところ……
さようなら、異世界みたいな公衆電話置き場。現物はなくなっても、あの空間が持っていた独特な雰囲気だけは、心の奥底に留めておきたい。
2軒隣には少し楽しいスポットも