ソフトバンクの宮川潤一 社長執行役員 兼 CEOは8月4日の決算会見で、7月に発生したKDDIの通信障害に言及。「正直言って対岸の火事だという認識はない。自分ごとだと認識している」と述べた。
宮川社長は「KDDIの障害を受けて、ソフトバンクで同じことが起こり得るかというケーススタディを細かくした。今回の件は起こり得ないという結論になったが、人的ミスから発生した障害なので、いつどこで同様もしくは少し違った事象が起こることは十分に考えられる」とコメント。対策チームを新設し作業手順を一から見直していると明かした。
「緊急通報だけのローミングでは不十分」
宮川社長は、障害発生時に他のキャリアのネットワークを利用できるようにする「ローミング」にも言及。障害発生時には通話ができないといった問題以外に、二段階認証やPayPayのような決済サービスの利用にも支障が生じるとして、「欧州で導入されている緊急通報だけのローミングで世の中のパニックが収まるのかというと、残念ながらあまり機能しないと正直思っている」と指摘した。
その上で「データ通信を含めたフルローミングについて本気で考える時期になった」と述べ、フルローミングの実現方法にも言及。「他のキャリアと議論しているわけではない」と前置きしつつ「我々の場合なら、ドコモやKDDIからMVNOの構造を受けておき、緊急時に切り替えられるeSIMを用意すればいい。その際の通信速度は300kbps程度で十分」と述べた。なお、総務省は9月にも事業者間ローミングの実現に向けた検討会を立ち上げる方針を示している。
KDDIの通信障害への返金「200円」の妥当性について宮川社長はコメントを控えた。