apple製品を使用している方は、一度は見たことがあるであろう💐この絵文字。ずっとバラの花束だと思っていたが、「チューリップ」で変換すると出現することに気づいてしまった。
…でも、本当に?
元花屋の筆者が、生花を使って再現し、この花束の考察をする。
「チューリップ」で変換するとでてくる、この絵文字。
タイトルだけご覧になって、こいつ何言ってんだ?とお思いになったであろうandroid、PCブラウザなどからご覧の皆さん。皆さんからはこの花束が、それぞれこのように見えていることだろう。
元花屋の筆者は長年、この花がバラだと思っていた。渦を巻くようについた花びら、先端にかけてのカーブ。拡大したときの花びらの質感もバラらしい。クラウン咲き、八重咲きのチューリップでこの画像のような形になるものもあるが、チューリップは花びらの中央に縦にはしる筋があり、質感もツヤのあるものが多い。
しかし、バラをよく観察したことがある方なら、こう思うだろう。「葉っぱがバラのものではなくない?」
それは確かにそうである。
バラの花びらは、このように楕円形の葉が3つ並んだ形になっている。
絵文字の花束、細長く伸びる葉は一見チューリップのようでもある。
実際のチューリップの葉をご確認いただきたい。
チューリップの葉は、茎を包むように生えてくる。
この絵文字は、葉っぱの上に花の茎がポンと置かれているように見えないだろうか?
つまりこれは、ピンクと黄色の花が2本ずつ+下に別途で葉が添えられている花束ではないだろうか。
もし、この葉が花の茎から出ているものだったとしても、この花がバラだと思っていた理由はもう一つある。
草花の形が、実際と異なった姿にデフォルメされることがたまにある。日本でもカタバミの葉が「クローバー」として描かれているし、海外ではバラの葉っぱがこのような形に描かれるのではないかと仮説を立てていた。
百聞は一見にしかず。
実際にバラの花で、この花束を再現してみよう。
葉については、今回はこちらを使用することにした。
花の形を比較していただくと、実物のバラの方が丸く、花びらの数が多いのがお分かりだろう。
では絵文字の花のような形のようにはなり得ないかというと、そうでもない。
アレンジメントの形などの都合で、大きく咲いたバラの外側の花弁を取り、スリムに見せることがある。
また、まだ長く咲けるバラなのに「開いていて、長持ちしなさそうだから」という理由で売れなくなるのを避けるために、同様の処理を行うこともある。
花弁が傷ついた花なども、このように剥がれてから売られている。ちょっとの傷でも売れなくなるのが生花の悲しいところだ。
ドラセナの葉、アレンジメントに入っているやつは葉がカットされているばかりか、任意の形をつくるためにホチキスで留められていることもある。初めて見るとちょっとびっくりする。
これをチューリップで再現しようとしたら、絵文字のような咲き方をする品種を探して、花屋10軒では済まないだろう。市場まで探しに行って、葉っぱを全て剥いで並べてから上に花を重ねて…と、考えれば考えるほど、この花束はチューリップではない。
ここまで長々と考察を重ねた上に、生花で再現までしてみたが、筆者が言いたいことは「これ、チューリップじゃなくね?」だけである。
ここまで読んでくださった皆さん。もう筆者だけじゃないですよ。あなたも次回からこの絵文字を見たとき、これ、バラみたいだけどチューリップなんだよな…と思う魔法にかかったのですから。
追伸:
🌱や🌿の絵文字を出す時、iOSだと「くさ」や「は」で変換できなくて、「はっぱ」と打たなければならないのもなんで???と思っています。