盛り上げるためにも、ルールは必要です。
米フェイスブックがメタへと社名を変更したように、なにやら「メタバース」が次のテック業界の大きなトピックとなりそうな予感。XR(VRやAR、MR)を組み合わせたメタバースではさまざまなビジネスチャンスがありますが、その中でも仮想空間に実際の都市を再現するというプロジェクトがあります。
そして今回はKDDI、東急、みずほリサーチ&テクノロジーズ、渋谷未来デザインが集まった「バーチャルシティコンソーシアム」により、メタバース/都市連動型メタバース業界の発展に向けた「バーチャルシティガイドライン」が制定されました.。
渋谷をメタバースに再現したバーチャル渋谷
実は2020年から、KDDI、渋谷未来デザイン、渋谷区観光協会が中心となった「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」により、「バーチャル渋谷」というプロジェクトがスタートしています。今回のガイドラインは,その経験を活かし、メタバース/都市連動型メタバースの設立時や運用時の注意点/検討項目を明文化したものです。
バーチャルシティガイドラインのトピックは、「都市連動型メタバース」「メタバース」の2つに分けられます。「都市連動型メタバース」には都市の景観の再現性や改変、「公共性」の考え方、実在都市との連携・商流の整理が含まれます。「メタバース」にはクリエーターエコノミーの活性化やアバターの保護、肖像権、パブリシティ権、バーチャル・プロパティなど、権利的/技術的な内容が含まれます。
バーチャルシティの目指す先
それでは、バーチャルシティ宣言ではなにを目指しているのでしょう。今回のコンソーシアムでは、以下のような目標が策定されています。詳しくは、こちらで公開されているガイドラインをご覧ください。
1. 創作活動を促し、人の多様性を開放する
2. 人の生活空間を拡張し、新たな経済圏を創出する
3. グローバルレベルでの「シティプライド」と都市の文化を育む
4. 「ヒト・モノ・コト」の偶発的な出会いと、コミュニケーションを創出する
5. テクノロジーを活用し、ユーザーの権利の適切な保護に努める
6. 公の場としての適切な運営と、オープン性を確保する
7. 民主的なルールメイキング活動を推進する
今後コンソーシアムでは、「ガイドラインver.2」にむけて「ガイドラインver.1」で未整理となっている、プライバシーや利用者権利の保護、メタバース間の相互運用性の確保、渋谷以外の他都市での適応に向けた整理などを議論していくそう。さらに、2022年3月にメタバースのハブとなるべく設立されたMetaverse Japanとの連携も行ないます。
記者会見の場で、ギズモード編集長の尾田が質問していましたが、こうしたガイドラインの意義として、いわゆるオンライン・ゲームなどのバーチャル世界よりも社会性、公共性が必須となる経済圏であることがメタバースのひとつのポイントとなりそう。であれば、リアルな街・渋谷との連動からスタートしたバーチャル渋谷のノウハウは、今後ガイドライン制定のアドバンテージとなっていきそうです。
Source: KDDI