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米国大手スーパーのターゲット(Target)が所有するシプト(Shipt)は3月第2週、セフォラ(Sephora)を最新の小売パートナーとする旨を発表し、500近いセフォラの店舗において即日配達を可能にした。
調査会社のテクナビオ(Technavio)は、2020年から2025年にかけて、米国における即日配達市場はほぼ2倍の規模に成長すると予言している。即日配達の需要が増大するにつれ、シプトは2020年から買い物客のネットワークを3倍に、小売業者ネットワークを2倍に増やした。同社は2月後半に、ウォルグリーン(Walgreens)およびセブンイレブン(7-Eleven)と提携し、それぞれで6000を超える店舗に拡大して、シプトの店舗のカバー率を40%以上増やすことを発表している。
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シプトはアラバマで2014年に設立され、当初は主にバーミンガムやタンパなど南部の小都市での食料品配達に特化していた。同社はその後、2017年に5億5000万ドル(約655億円)でターゲットに買収され、それ以後はターゲット以外の小売業者との提携により配達能力を拡大してきた。これらの新しい全国でのパートナーシップは、シプトのエグゼクティブたちが依然として食料品の分野を越えて、すべての商品カテゴリーと地域における即日配達へと事業を拡大する意向であることを示すものだった。
シプトの最高業務責任者を務めるリナ・ハースト氏は、食料品の配達から美容品への移行、小規模企業での即日配達の機会と15分配達の脅威について、米モダンリテールとチャットで語った。以下の対談内容は簡素さと明瞭さを考慮し、編集を加えたものである。
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- ――セフォラは御社の最初の美容品パートナーだ。御社のほかのパートナーが扱っている食品やコンビニエンス商品と比較して、美容品カテゴリーに特別の懸念はあるか?
- ――御社は、セフォラのビューティインサイダー(Beauty Insider)のポイントをシプトのマーケットプレイスに統合した。これが物流の観点からどのように働くのか? また、ブランドの保有するプログラムを自社のUIに統合するときの課題について、いくつか話してもらえるだろうか?
- ――御社は今年だけでもセフォラ、セブンイレブン、ウォルグリーンと提携した。シプトにブランドや小売業者を追加するときに何を求めているか?
- ――昨年には多くの大手小売業者が即日配達を採用した。今後、ひとつかふたつの店舗しか持たない小規模なブランドや小売業者にも、このモデルを取り入れる動きがでてくると感じている。シプトは、その分野の即日配達に参入する予定はあるのか?
- ――即日配達の増加と同時に、超短時間の15分配達業者も増えてきた。シプトのような即日配達プラットフォームの観点から、15分配達はどのように位置づけられるか? 双方は競合するのか、それともまったく異なる顧客を対象としているのか?
――セフォラは御社の最初の美容品パートナーだ。御社のほかのパートナーが扱っている食品やコンビニエンス商品と比較して、美容品カテゴリーに特別の懸念はあるか?
懸念は特になく、大きな期待を寄せている。これにより、当社が顧客に提供する商品の品揃えが完成したものになる。当社の業務は食料品からはじまったもので、当社はそれぞれの市場で、自社の食料品店を中心として、適切な専門小売業者と提携することを希望している。美容品は、当社が自社マーケットプレイスへの追加を長年にわたって求めてきたものだ。
私自身を例にしよう。私はこのタイミングに、はじめてシプトのマーケットプレイスでセフォラの注文を行った。そのときに、私たちがこのカテゴリーをマーチャンダイジングして美容品についてのストーリーを語ってきたやり方では今まで見ることも知ることもなかった新商品を見つけた。私がバスケットに追加したふたつ目の商品は、私がセフォラでいつも購入しているもので、補充が必要だっただけだ。これが顧客に何を意味するかについて考えてみると、忙しい母親や、働いているプロは、セフォラに足を運ばなくてすむようになれば、多くの時間を節約できる。当社の消費者も同様な体験をしていると、私は考える。これは消費者にとって、大きなもてなしや「ついで買い」のように感じられ、消費者はますますシプトを使うようになるだろう。
――御社は、セフォラのビューティインサイダー(Beauty Insider)のポイントをシプトのマーケットプレイスに統合した。これが物流の観点からどのように働くのか? また、ブランドの保有するプログラムを自社のUIに統合するときの課題について、いくつか話してもらえるだろうか?
当社は、データを相互にどのようにやり取りするかについて、セフォラとのあいだで話し合っているが、両社のシステム間は緊密に統合されている。当社はバックグラウンドで、双方のふたつのシステム間で調停処理を行っているため、顧客にとっては非常にシンプルだ。
――御社は今年だけでもセフォラ、セブンイレブン、ウォルグリーンと提携した。シプトにブランドや小売業者を追加するときに何を求めているか?
セブンイレブンやウォルグリーンはふたつとも巨大な全国ブランドで、全国どこでも多くの消費者に知られ、愛されている。両社との提携の価値は、これによって当社は自社のコンビニエンス部門の増強に注力できることだ。つまり、ドラッグストアやコンビニエンスなどの日常使いする店舗のことだ。これらが加わることで、当社は全国でカバーする店舗を40%増やすことができた。また、当社が米国全体でカバーしている顧客全体について考えれば、すべての顧客がそれぞれの市場で最低ひとつのドラッグストアやコンビニエンスストアにアクセス可能だ。
そして、そこに私の目標がある。当社が消費者に提供する小売パートナーを、市場ごとに完全なものにしたいと考えている。重要な市場のそれぞれについて、適切な地元のお気に入りの食料品店、適切な総合商社、そしてドラッグ、コンビニエンス、ペット、アルコール、医薬品、美容品、アパレル、フットウェアを含む専門業界の適切な一式が必ず存在することを当社は求めている。この業界のリストはさらに増えていくだろう。
――昨年には多くの大手小売業者が即日配達を採用した。今後、ひとつかふたつの店舗しか持たない小規模なブランドや小売業者にも、このモデルを取り入れる動きがでてくると感じている。シプトは、その分野の即日配達に参入する予定はあるのか?
これは非常に興味深く、独自の分野だ。小規模の小売業者には同等の洗練されたeコマース能力はないが、シプトはそのような小売業者を支援することが可能だ。当社のチームはまさしくそのような作業に現在没頭している。チームはそれぞれの市場を調べて、「これらの小売業者は店舗がひとつかふたつしかないが人気がある。この業者は当社のギャップを埋めてくれるだろうか?」というような業者を探している。消費者はこのような業者から買い物をする。
例を挙げよう。小さい例ではないが、地元で人気のある業者の例だ。当社は太平洋北西部で大きな影響力を保有しているが、西海岸でPCCコミュニティマーケット(PCC Community Markets)を自社マーケットプレイスに追加した。同社はコープによる小規模な食料品店だ。当社が追加したのは、伝統的で簡単に統合できるパートナーではなかった。同社には、マイヤー(Meijer)やターゲットのような当社の大手パートナーから入手できるような堅牢なカタログはなかった。しかし、当社は熱意を持って同社と共同で作業して同社のカタログを完成させ、同社の経験を当社のサイトで活かせるようになった。
しかし私は、さらにいくつか先のステップに進めると考えている。お気に入りの肉屋はどこだろう? ワインやアルコール飲料は町のどこで購入するだろう? お気に入りのペットストアはどれだろう? 我々はこのような種類の質問を自らに投げかけており、極めて消費者中心の手法を使用している。
――即日配達の増加と同時に、超短時間の15分配達業者も増えてきた。シプトのような即日配達プラットフォームの観点から、15分配達はどのように位置づけられるか? 双方は競合するのか、それともまったく異なる顧客を対象としているのか?
当社の競合他社のいくつかは、この分野で非常に積極的になっている。これは多くの場合、非常に都市的な市場で、ブランド化された商品が多く、バスケットの商品はひとつかふたつだ。当社の顧客は年間20回以上シプトで買い物をし、100ドル(約1万1900円)程度の商品をバスケットに入れる。サイトを訪問してひとつかふたつの商品を追加する顧客もいるが、割合としてはごく稀だ。当社は多くの場合、住宅密集郊外地域に配達する。
小売業者に「15分配達で、どのような問題を解決しようとしているのか?」と質問すれば、ほとんどの業者はまだ回答を明確に表現できないだろう。私としては、今のところはこれらの業者に注目している。そして当社は、この分野の意味するものと、当社の業務を阻害する要因になるかどうかを考えているが、スピードを目的としたスピードは、正しい解決策にならないと、私は考える。
当社は顧客の期待を満たし、顧客が求めるものが正しく、顧客の求める時間内に配達されるよう注力する。食料品の分野では、注文から1時間以内の配達が要求されることも多い。食料品以外の分野では3日、4日、5日くらいあとになることが多い。パーティシティ(Party City)の注文は月曜日に行われ、配達は土曜日だ。ベストバイ(Best Buy)やベッド・バス・アンド・ビヨンド(Bed Bath and Beyond)でも同じだ。このように正反対なふたつにわかれ、その違いは興味深い。
Maile McCann(翻訳:ジェスコーポレーション 編集:長田真)