レーザーで網膜に映像投影。 こわいけど、実はメリットばかりな技術

TDKとQD LASERの今とこれから…に期待しちゃう。

より小さい本体サイズで、より精細なビジュアルが見られる時代を目指して、XRデバイスの技術革新が進んでいます。メガネサイズで、VRもARもXRも満足できるようにいろんなメーカーがさまざまな技術を開発していますが、新鮮な驚きを感じたのがTDKとQD LASERのレーザー網膜投射技術です。

人間のね、眼球の奥にある網膜をスクリーンとして、レーザーで映像を投影する技術なんだけど…。

レーザーを眼に当てるって、怖い印象あるよね

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Photo: 武者良太

でもね、スカウター型のデモ機の映像を見たら怖さより驚きのエモさのほうが上だった。メガネを外した状態で、視野の中央部も周辺部もパッチパチにピントが合った映像に、自分のなかの常識とか思い込みとか感情が一気にアップデートした。長年のメガネ男子としてマジで実感しました。これ、めちゃくちゃ楽なAR/VR技術じゃないかと。

レンズを通さないから周辺部のにじみも光量落ちもないし、この方式なら、ARやVRのデジタル映像を見るための補正レンズがいらないんですよ。もともと近視やロービジョン(弱視)対策としても注目されていた、「見える」の世界を拡張するための技術ですから。

水平視野角60度を実現した新型デモ機

なお上の写真で紹介したデモ機のスペックは、解像度が1280 x 720ピクセル、水平視野角は40度。シャープな映像以外は他社のARグラスでも見られるような世界でした。

けれども。技術は進化するのです。

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Photo: 武者良太

グラスの形とはなっていなかったけど、新型のデモ機解像度は1920×1080ピクセルで、水平視野角60度を実現したんですって。確かめてみると、映像が一歩前に近づいた感じがある。視野が広いから多くの情報が見やすいんですよね。

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Photo: 武者良太

1本のフルカラーレーザー光で高速ラスタースキャン*して網膜に投影するのですが、従来はRGB=3本のレーザー素子を電流で制御していたため、2K解像度が限界だったそうです。

*超高速で動かせるレーザーなどで描いた1本の線を、たくさん並べることで平面の映像を作り出す方法。昔のテレビのブラウン管などで採用されていた方式。

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Photo: 武者良太

しかし新型制御デバイスはレーザーの光を伝える導波路を電圧で制御することでMIX色を調整。この蛇口みたいな手法を取り入れることで従来品より10倍速い制御ができるようになり、理論上4K以上の解像度も可能になったんですって。

参考までにこのGen2の導波路ですが。

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Photo: 武者良太

ちっちゃ!

1日もはやく実用化してほしいアイトラ入りレーザー網膜投影XRデバイス

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Photo: 武者良太

さらに、です。先日のCEATECTDKブースで体験できたバージョンアイトラッキングつきでした。眼を動かすとレーザーがケラれてしまい映像が見えなくなってしまうため、その対策として眼球の動きを検出し、レーザーの投射角度を調整するシステムを導入したそうですよ。

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Photo: 武者良太

これが本当によく見える。遅延は感じますが、眼の動きに映像がついてくる。試作機段階でも、スカウタータイプのデバイスとしては十分使い物になるのでは、と感じました。

基本はBtoB向け、エンタープライズ市場のXRデバイス向けの技術であり製品となるでしょう。でも自転車のアイウェアや、バイクのヘルメットに搭載してくれたら、道の先を見ながらナビの画面を確認できますし、アプリ次第では公衆トイレのある方角と距離も教えてくれるだろうし、こんなのもう期待するしかありません。

Source: TDK , QD LASER

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