ウェブサービスの請求でユーザーを意図的にだます「ダークパターン」とその回避方法

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インターネット経由で人々に必要な機能やサービスを提供する「SaaS」は、近年多くのシーンで利用されています。しかし、SaaSにはユーザーを意図的にだますダークパターンが利用されていることも多いとして、どのようなダークパターンが存在するのかや、ダークパターンの回避方法を、支出管理ソフトウェアを提供するQuolumが解説しています。

I Analyzed SaaS Billing Dark Patterns – The Cotton Gin
https://quolum.com/blog/saas/i-analyzed-saas-billing-dark-patterns/

インターネットで製品を販売したりサービスを提供したりする時に、ユーザーを誤解させるようなデザインを意図的に採用することがあります。これはデザインの「ダークパターン」と呼ばれ、近年問題視されているもの。このような事態に対処するため、アメリカではダークパターンを規制する法律が制定されつつあります。

Quolumによると、SaaS業界では料金の請求においてダークパターンを使用することがよくあるとのこと。SaaSがよく利用するダークパターンの例は以下の通り。

◆1:無料トライアルから通知なく有料版に移行する
製品の購入前に無料トライアルを提供しているSaaSは多くありますが、無料版を提供する際にクレジットカード情報を要求するケースもあります。しかし、実際には無料版の利用にクレジットカード情報は必要なく、このようなプロセスを取っているSaaSは「無料版の期間が経過した後にすみやかに有料版に移行させる」ことを目的としている可能性があるとのこと。言い換えると、SaaSはユーザーの「解約忘れ」を収益につなげることを想定しており、解約忘れに気づいたユーザーがSaaSに連絡して返金を求めても、「利用規約に同意したこと」を盾に返金が断られることが考えられます。

◆2:ユーザーが気づかないところで取引が実行される
SaaSは「年間料金一括払い」や「月ごとの購入」といったさまざまな支払いプランを用意しています。しかし、1回限りの支払いだと思って利用した「月ごとの購入」が、実は「毎月同じ日に繰り返し請求される」という形態だったということも。SaaSは初月の請求を送る際に翌月以降の支払いについて言及しないため、ユーザーは請求が繰り返されることに気づかず、数カ月たった後に利用明細を見て「この請求は一体なんだ?」と初めて気づくそうです。

Amazon Web Servicesでも同様のことが起こると指摘されています。


◆3:クレジットカードの悪用
1や2はユーザーにとってはわずらわしいものの合法です。しかし、SaaSの中には違法な手段でユーザーからお金をだまし取るところもあると指摘されています。一般的に、クレジットカードの取引は以下のプロセスで実行されます。

1.クレジットカードの承認
まず、クレジットカードが正当なものであり、クレジットカードの所有者が十分なお金を持っていることを確認するために、売り手側の銀行からクレジットカード所有者の銀行に対して承認リクエストが送信されます。具体的には、売り手側は1ドル(約110円)だけ請求し、承認が行われるとすぐに請求を取り消すという方法でカードの正当性を検証します。

2.クレジットカードのキャプチャと清算
売り手側は上記で得た承認を利用して、取引について確認します。

3.クレジットカードの決済
決済が行われると、実際にお金が買い手から売り手にわたり、借用書の内容が変更されます。クレジットカード取引において、これが最終段階となります。

SaaSの中には、無料トライアルの登録時にユーザーにクレジットカード情報を入力させ、1ドルを使ってカードを検証した後に、すぐに返金を行わず、この承認をもって高額の有料版について請求するところがあるとのこと。


◆4:利用できないサービスに対して支払いが発生する
SaaSの中には、登録後に行う設定作業が多く、すぐには使い始められないものもあります。このため、SaaSに登録したものの、数か月にわたり続く登録作業でまだSaaSが利用できていないにもかかわらず、料金が発生することもあり得ます。このようなケースもダークパターンにあたるとQuolumは指摘しています。

Quolumの調査によると、多くの企業はSaaSが保有する多数の機能を活用しきれていません。このため、SaaSが自社サービスの成長を認識する方法は、「サービスの使用率」ではなく、毎年の「収益維持率」になります。高い収益維持率を保持するために、上記のような慣行が行われているのが実態というわけです。このような事情を年頭に、Quolumは「SaaSの課金のダークパターンを回避する方法」として以下を推奨しています。

1.トライアル登録時にクレジットカード情報を提供しないこと
2.登録時に通知メールを設定すること
3.「Stripe」といった知名度のある決済サービスを利用すること
4.明確なキャンセルポリシーがあるかどうかを確認すること
5.アカウント削除の手順を確認すること

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