あの“荷物運び”を、手のひらで。
『DEATH STRANDING DIRECTOR’S CUT』がiPhoneで遊べるようになりました。『DEATH STRANDING(デス・ストランディング)』は、メタルギアシリーズなどで知られるゲームクリエイター、小島秀夫監督率いるコジマプロダクションによって開発され、2019年に発売されたゲーム。
荷物を運ぶ、が楽しいの…?
「荷物を運ぶのが楽しいゲーム」。そんなゲーム、聞いたことありますか? 主人公、サム・ポーター・ブリッジズは旅する配達員。彼が働くのは荒廃したアメリカです。人体に影響を及ぼす雨が降り、怪物たちもいるので、人々は家に引きこもり外に出てきません。そこで、荷物を家から家へと届けて、感謝されまくるのが本作です。
配達の道中は危険がいっぱい。行手には、大自然が作り出す悪路だけでなく、一瞬でも気が緩めば襲ってくるドロドロした怪物もいて、スリル満点の冒険が楽しめます。ゲームを進めると、高性能なブーツや車が使えるようになっていきます。あれだけ大変だった配達が、ちょっとずつスムーズになっていき、世界も開拓されていく。そんなロマンを楽しめるのが魅力です。
今回新たに、iPhone、iPad、Macに登場しました。対応機種は、iPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro Max、Mシリーズチップ以降を搭載するMacとiPadです。
iPhone版の登場で、移動時間や隙間時間に荷物を届けるミッションを1つやり遂げよう、などといった手軽なプレイができるようになりました。対応する他のAppleデバイスでも遊べるので、外出時にiPhoneで楽しんで、家に帰ってきてからMacでじっくりと向き合う、というような遊び方もできます。
さっそくiPhoneでプレイ
さっそく私も、ギズ編集部所有のiPhone 15 Proを借りてプレイしてみました。スムーズな立ち上がりから、すぐに美しいグラフィックが手のひらに広がります。昨年末『BIOHAZARD VILLAGE』もiPhoneに登場しましたが、改めてコンソールゲームがスマートフォンで遊べるようになってきていることに驚きます。
操作は、バーチャルパッドで行なえます。ただ、繊細な操作や、複数のボタンを使うアクションが求められる本作では、バーチャルパッドだけで進めていくのはやや難しさを感じます。また、しばらく遊んでいると、10分で5%ほどのバッテリーの減りと、iPhone本体の発熱が起こりました。時々画面がカクついてしまう事象も(*)。(*最新のAPP verではこの現象は改善されているそうです)
そこで、コジマプロダクションから提供されたスマートフォン用コントローラー「Backbone One」(本作のリリースに合わせて発売された限定モデル)を接続してプレイしてみました。
残念ながらこの限定モデルはすでに売り切れとなっていますが、そのデザインはとても魅力的。主人公サムが装備するBBPODを彷彿させるデザインで、自分もサムになった気分で没入感をさらに高めてくれます。
バーチャルパッドに比べ、操作感は圧倒的に向上。R2、L2ボタン等を駆使して、複雑な地形を越えていくシーンでは、抜群の操作性を発揮してくれるので、iPhoneで本作を遊ぶならコントローラー使用がおすすめです。
小島監督が描こうとしたテーマを、iPhoneで
本作で描かれるテーマは、人と人との繋がり。孤立した人々を繋いでいこうとするサムの物語が描かれながら、ゲーム内では、実際に他のプレイヤーが作ったアイテムが設置され、攻略の手助けをしてくれます。
IGN Japanの取材の中で、小島監督は開発のきっかけを以下のように語っています。
インターネットというのは世界と繋がっていて、SNSも気軽に遊べるようになっていて、WiFiとか電波でも世界は繋がっている。その中でも、インターネットの中でも分断して孤立化している人が多い。
繋がっているのに、争いがあったりとか、いじめがあったりとか。そういう社会の中で、ゲームの中で皆さんがホッとするような繋がりを作りたいというのがあったところからのスタートなんです。
インターネットへの窓口として、今や生活の一部になっているスマートフォンで、このテーマを持った作品を遊べることもまたユニークな体験のように感じられます。
荷物を運ぶという目的自体はシンプルで入りやすい設計になっていながら、戦略性とアクション性が奥深く、重厚で先の読めない物語にどんどんと引き込まれていく本作は、多くの人が楽しめる作品だと思います。
iPhoneで手軽に楽しめるようになった今こそ、まだ遊んだことのない人は、ぜひプレイしてみてください。
Photo: 小野寺しんいち
Source: Kojima Productions, IGN Japan, Backbone