どこからどう見てもタイヤです…。
ウクライナの攻撃をかわすため、ロシアがタイヤで爆撃機をカモフラージュ(?)していることが衛星写真でわかりました。
最初は正体不明だった
場所は国境から約300km離れたエンゲリス空軍基地(モスクワの南東約730km)。昨年暮れからドローン攻撃を何度も受けている基地です。
8月下旬にThe War Zoneが初めて報じたときには、黒海の海軍同様、黒く塗ってカモフラージュしているようにも見えたのですが、9月に入って@Tatarigami_UAさんが最新の衛星写真をチェックしたら、まさかのタイヤだったというわけです。
Brace yourselves, because russians have once again showcased unparalleled innovation. What you are looking at is a satellite image featuring a TU-95 strategic bomber covered with car tires. According to them, this should protect strategic bombers from drones pic.twitter.com/ZjDDzRPOWf
— Tatarigami_UA (@Tatarigami_UA) September 3, 2023
何を恐れている?
タイヤを乗せている機体は、確認できるだけでも戦略爆撃機Tu-95(NATOのコードネーム「Bear」1機、侵攻初期段階で軍功を挙げた爆撃機)5機と同Tu-160(コードネーム「Blackjack」)3機です。
ロシア軍が恐れているのはおそらく、黒海の巡洋艦「モスクワ」を撃沈した地対艦ミサイル「ネプチューン」ではないかと言われています。
改良を加えて、陸も狙えるようにしたことをウクライナが発表した直後ですので、タイミングから見て、たぶんそれに対応した動きかと。 もちろん、ドローンからの防衛もあるでしょう。
タイヤをのせてかわせるものなの?
カメラの画像で標的を絞る技術のことを、巡航ミサイルの世界では「DSMAC(Digital Scene Matching Area Correlator:デジタル画像位置照合修正技術)」、「ATR(Automated Target Recognition:自動ターゲット認識技術)」といいます。
ネプチューンの地対地ミサイル改良版では、国産GPSシステムで標的付近まで近寄ってから赤外線映像を使った誘導装置(シーカー)で的を絞るらしいので、記録された写真と著しく異なる姿になっているとエラーになり、攻撃失敗となります。こういう泥臭い隠し方でも効くのかも。
ドローンの誘導システムは機密なのでわかりませんが、たぶん同じような赤外線映像がシーカーとして採用されている可能性はあります。
使えるものはなんでも使う
それにしてもロシアの臨機応変さにはいつも驚かされます。
予想以上の抵抗に遭って苦戦した侵攻当初、TOYOTAやMITSUBISHIのトラックに「Z」と大書してマシンガンを積んで攻め込み「ISISならぬIZIZだ」と西側を唖然とさせたロシア。
Russia sending in their “IZIZ-style” Mitsubishis and Toyotas into Mariupol.
Is this supposed to be one of the world’s top 5 armies that the collective West is supposed to tremble in front of?
Time for NATO to send those Polish MiG-29s to Ukraine! pic.twitter.com/jCf0vweE0g
— Visegrád 24 (@visegrad24) March 28, 2022
「V」と大書した国産KAMAZのトラックに張り巡らせた緩衝材は丸太や木の枝でした。
When I said the Russians were starting to take rear area security a bit more seriously this is not what I had in mind pic.twitter.com/tpVo6JR5BH
— OSINTtechnical (@Osinttechnical) March 5, 2022
そういう前線の混乱がいよいよ基地にまでおよんできた感があります。
Sources: The War Zone, @Tatarigami_UA, The Drive