前にも書いたかもしれないが、どうも私は「太切り」ファンである。蕎麦が太けりゃ太いほど喜んでしまう習性があるようで、これまで食してきた「太切り系」の蕎麦は、どれもこれも好印象。
特に印象深いのは3つあり、ひとつは北舘製麺『石臼挽きそば 太切り』、続いて柄木田製粉『黒い太切り蕎麦』、最後に白石興産『蔵王白石 太めのそば』。この3つは、それぞれ特徴的で実に “面白い蕎麦” であった。
今回の『太切り 田舎蕎麦』を製造したメーカーは、当連載3回目の登場となる「ヒガシマル」。ゆで時間を4分ではなく「3分50秒」にこだわったり、なんだか特徴的でクセのあるメーカーであるが、「太切り」はクセがある方が面白い。
それではさっそく……
デカい鍋にタップリのお湯を沸かし……
4分30秒ゆでて……
完成。
して、そのお味は──
この蕎麦、すごく安いんですけども……嫌いじゃないです(笑) これはね、好みだと思うんだけど、私、好きです。
まいったなぁ……。いわゆる正統派な干し蕎麦が長州力だとしたら、これはさしずめ大仁田厚。すべてにおいて邪道。だが、それがいい。
極端に平べったい麺、まずこれが楽しい。そして食感、これまた良い。食べた後に感じるザラザラとした感触も面白いし、ややジャンキーな蕎麦の味、これまた分かりやすくてナイス。
なお、ジャンキーな蕎麦の味とは、いわゆる「カップ蕎麦」の蕎麦の味みたいな、ああいう感じ。荒っぽい食感にマッチしてて実にイイのだ!
「家そば」か「外そば」かで言えば、なんというか……屋根、みたいな。もうなんか本当に邪道すぎて。わけわかんないんだけどウマイ、みたいな。
これね、野菜盛りだくさんの「けんちんそば」とかでやったら丼の中が電流爆破デスマッチ状態になるよ。面白い蕎麦になるよ〜!
やっぱり「太切り」は、クセがある方が面白い。そう考えると、ヒガシマルは「太切り」にピッタリなメーカーである。太切り専門メーカーになったらいいってくらい。よかった。非常に!
執筆:干し蕎麦評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24