「新型コロナウイルスの感染前にビタミンD不足だった患者は重症化率や死亡率が高い」との研究結果

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連するさまざまな研究が進められる中で、必須栄養素である「ビタミンD」とCOVID-19の重症度との関連に注目が集まっています。新たにイスラエルの研究チームが発表した論文では、「感染前の体内におけるビタミンDの量が、COVID-19の重症度や死亡リスクに大きな影響を及ぼす」との研究結果が示されました。

Pre-infection 25-hydroxyvitamin D3 levels and association with severity of COVID-19 illness
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0263069

Vitamin D Deficiency Linked With Increased COVID-19 Severity and Mortality
https://scitechdaily.com/vitamin-d-deficiency-linked-with-increased-covid-19-severity-and-mortality/

Vitamin D Deficiency Increases Risk of Severe or Fatal COVID-19
https://www.contagionlive.com/view/vitamin-d-deficiency-increases-risk-of-severe-or-fatal-covid-19

COVID-19の重症度とビタミンDの関連についての研究は数多く行われてきましたが、その結果はまちまちです。2020年4月には早くも「COVID-19の重症患者はビタミンD不足の割合が高い」と報告されたほか、216人のCOVID-19患者を調査した研究では「患者の80%がビタミンD不足だった」との結果が示されました。一方、「ビタミンDがCOVID-19の予防や治療に役立つという明確な証拠はなく、ビタミンDの過剰摂取は健康問題を引き起こす可能性がある」という主張や、「ビタミンDレベルに影響する遺伝子に基づく調査からは、COVID-19の重症度との関連は見られなかった」という研究結果も報告されています。

2021年1月には「ビタミンDの摂取がCOVID-19の重症化リスクを低下させる」と主張する200人以上の科学者・医師が、ビタミンDの摂取量を増やすことを求める公開書簡を出しました。

新型コロナウイルス対策のためビタミンD摂取量を増やすよう200人以上の科学者・医師が要望 – GIGAZINE


イスラエルのバル=イラン大学ガラリヤ・メディカル・センターの研究チームが2022年2月3日に発表した論文では、ガラリヤ・メディカル・センターに入院したCOVID-19患者を対象にして、ビタミンDとCOVID-19の重症度や死亡率との関連を調査した結果が報告されています。

この研究では、被験者の体内におけるビタミンD量を測定する指標として、ビタミンDの代謝物である25-ヒドロキシビタミンDを利用しました。2020年4月~2021年2月にかけてガラリヤ・メディカル・センターに入院した1176人のCOVID-19患者のうち、陽性反応が出る14~730日前に測定された25-ヒドロキシビタミンDの血中濃度が文書化されていたのは、合計253人だったとのこと。25-ヒドロキシビタミンDのデータがあった253人のうち、25-ヒドロキシビタミンDの血中濃度が20ng/ml未満の「ビタミンD不足」と診断されたのは133人、血中濃度が20~29.9ng/mlだったのは36人、30~39.9ng/mlは44人、40ng/ml以上だった患者は40人でした。

体内の25-ヒドロキシビタミンD量とCOVID-19のリスクについて分析した結果、ビタミンD不足の患者では実に76人(57.1%)が重症または致命的な状態に陥ったのに対し、血中濃度が20~29.9ng/mlの患者で重症または致命的な状態に陥ったのはわずか4人(11.1%)、血中濃度が30~39.9ng/mlでは重症のみで4人(9.1%)、40ng/ml以上でも重症のみで3人(7.5%)でした。20ng/ml未満のビタミンD不足である患者と20ng/ml以上の患者で分けても、ビタミンD不足の患者が重症以上になる割合が57.1%なのに対し、20ng/ml以上の患者が重症以上になる割合は9.2%にとどまっています。

また、入院中の死亡率に関しても、ビタミンD不足の患者とそうでない患者の間で大きな差が観察されました。25-ヒドロキシビタミンD量が20ng/ml未満だった患者のうち34人(25.6%)が死亡したのに対し、20~29.9ng/mlの患者で死亡したのは1人(2.8%)、30~39.9ng/mlの患者でも1人(2.3%)、40ng/ml以上の患者で2人(5.0%)となっており、「ビタミンD不足の患者における死亡率が圧倒的に高い」という結果になりました。


研究を主導したガラリヤ・メディカル・センターのAmiel Dror博士は、「私たちの研究結果は、ビタミンDのレベルを正常に保つことが推奨されると示唆しています。これはウイルスに感染した人にとって有益です」とコメント。また、研究に参加したバル=イラン大学のMichael Edelstein教授は今回の結果について、ビタミンDがCOVID-19の臨床経過や死亡率の予測因子であることを示唆する新たな証拠だと主張しました。

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2022年02月09日 08時00分00秒 in サイエンス, Posted by log1h_ik

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