2023年は、メディア業界とマーケティング業界の両方が経済情勢に苦しむことになるだろう。実際、こうした状況はすでに始まっている。ただし、その影響の大きさはパブリッシャーとエージェンシーで異なりそうだ。
これは、DIGIDAYがパブリッシャーとエージェンシーの関係者139人を対象に行った調査で明らかになったものである。
DIGIDAYの調査によれば、経済が今年の大きな障害になるという点で、パブリッシャーとエージェンシーの意見は一致している。どちらの業界も、経済情勢を2023年に直面する一番の課題として挙げていたのだ。これは驚くような話ではないが、2022年に各業界がDIGIDAYに対して挙げた課題のリストに経済が含まれていなかったことを考えれば、大きな変化といえる(2022年には、Cookieの廃止がメディア業界の一番の課題で、エージェンシーは大離職時代を最大の懸念としていた)。
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景気低迷による「不吉な前兆」
パブリッシャーが経済に関して不吉な前兆を感じていることは、調査結果をみれば明らかだ。パブリッシャー関係者の4分の3以上(77%)が、今年のメディア業界が直面する最大の課題は経済情勢だと答えていた。
エージェンシーも、やや割合が低いとはいえ、2023年に懸念されるのは経済的な問題だとの考えを明らかにしている。エージェンシー関係者の59%が、今年の業界にとって最大の課題は経済情勢だと述べていた。
DIGIDAYの調査リポートで経済への懸念が明らかになったのは、今回が初めてではない。DIGIDAYが1月に報じた調査結果では、パブリッシャーの59%が今年は経済が自社の業績に打撃を与えるとの意見に同意しており、メディア業界全体について楽観的なパブリッシャー関係者は35%に過ぎなかった。一方、エージェンシーの回答者56%も、経済が2023年の業績に打撃を与えるとの考えに同意していた。
各業界が抱いている懸念の中身に目を向ければ、経済が今年どれほど大きな課題とみなされているのかがさらによくわかる。メディア業界とエージェンシー業界の両方で、経済情勢を挙げた回答者の数が、そのほかの潜在的な課題を挙げた人の数を大きく上回っているからだ。
パブリッシャーとエージェンシーの意識の違いは
パブリッシャーは、彼らが今年直面する可能性のあるどの障害よりも、経済に極めて大きな懸念を抱いている。パブリッシャー関係者のうち、「経済情勢」が今年の業界にとって最大の課題だと述べた人の割合は77%で、2番目に多かった「サプライチェーンが広告費に与える影響」を挙げた人の割合はわずか11%だった。
この2つ以外の潜在的な課題を挙げた関係者の割合は2桁にも達していない。「Cookieの廃止」が6%、「従業員の離職」が3%、「ウォールドガーデン」「動画広告の測定およびアトリビューション」がそれぞれ2%だった。
エージェンシーにとっても、今年最大の課題は経済だが、DIGIDAYの調査によれば、そのほかの潜在的な課題との差はパブリッシャーほど大きくなかった。
エージェンシー関係者のうち、「経済情勢」が2023年の業界にとって最大の課題と答えた人の割合は59%で、16%の回答者が選んだ「従業員の離職」がその後に続いた。また、11%のエージェンシー関係者が「動画広告の測定およびアトリビューション」を、5%が「Cookieの廃止」と「ウォールドガーデン」を最大の課題として挙げていた。「サプライチェーンが広告費に与える影響」は3%と、最下位になっている。
Julia Tabisz(翻訳:佐藤 卓/ガリレオ、編集:島田涼平)