TikTok をより収益性の高い広告チャネルとして活用する小規模ブランドたち:「投入資金が広範囲に影響を及ぼす」

DIGIDAY

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この1年間で、TikTokは小規模ブランドにとって、より収益が得られる広告チャネルになった。

ガートナー(Gartner)の部門であるキャプテラ(Capterra)が刊行した最近の調査によると、TikTokを使用している中小企業の半数以上は、TikTokが自社の総合的なマーケティング業績に大きな影響を与えたと感じている。調査対象となった168の小売やレストランのブランドのうち、78%はTikTokの広告によってプラスのROI(投資利益率)を実現したと回答している。そして、キャプテラによると、その半数以上は6カ月以内にプラスのROIを達成した。

米モダンリテールと対談したマーケティング担当者や創業者は、さまざまな理由から、ほかのプラットフォームと比べてTikTokで大きな投資回収を得ることができたという点で意見が一致した。一部のブランドにとっては、TikTokでバイラル的なヒットを生み出し、それをほかの動画に転用して、数カ月経った後でも数百万回再生されているためだ。アプリの広告ツールやホワイトリスト機能が改良されたことを指摘する声もある。ほかのマーケティング担当者は、TikTokの動画広告は、ほかのソーシャルプラットフォームと比べてコンテンツ作成の負担が少ないと回答した。

より信頼性の高い有料チャネルに

その結果として、TikTokはこれらのブランドにとってより信頼性の高い有料チャネルになった。プレバイオティクスのソーダブランドのポッピー(Poppi)は、2年近く前にアプリの運用を開始して以来、同社の売上全体のうち約15%がTikTokからのものだと推定している。同社は、ライバルのインスタグラムと比べてTikTokの有料広告に4倍の資金を投入していると語る。

しかし、特に政府当局による精査が厳しくなってきたことから、その信頼性は保証されていない。少なくとも20の州で、政府が支給するデバイスでのTikTokの使用が禁止された。また多くのD2C新興企業にとってFacebookやGoogleは依然として広告の主流だ

「我々はチームとして、ひとつの選択がプログラム全体の成否を左右することはないと考えている。むしろ、我々はそのような統合的な戦略に特化している」と、カインドリー(Kindly)のブランドマーケティングディレクターを務めるゾーエ・シルバー氏は語る。同社は2021年に立ち上げられたゲルマート(Gelmart)傘下の下着ブランドで、2022年中盤にTikTokのチャネルを開始した。カインドリーはこれまで、ブランドがクリエイターに500ドル(約6万4500円)を渡して、見知らぬ人に親切な行為を行ってもらうキャンペーンなど、低コストのゲリラマーケティング手法を主に実験してきた。

@teamkindly @Eli Rallo Thank for this beautiful act of kindness !! Never forget, you can’t imagine how much of an impact a random act of kindness can have on another person #LiveKindly #KindlyYours #random #actofkindness #fyp #foryou #influencer #waiter #restaurant #tip #passiton ♬ Cool Kids (our sped up version) – Echosmith

「当社は過去数年間に、インスタグラムやFacebookの広告に関して、広告に費やした資金は期待するほど広範囲な影響がないことに気づいた。しかしTikTokでは、資金がもっと広範囲に効果を及ぼす」と、シルバー氏は述べている。

長期に渡る効果

また、過去数年間にTikTokの広告での実験に資金を費やしたブランドの中には、もっとも初期にバイラル化したヒットから恩恵を受け続けていると語る。

ポッピーの創業者で最高ブランド責任者を務めるアリソン・エルズワース氏は、プレバイオティクスのソーダブランドである同社が有料広告を行う方法がTikTokによって変化したと、米モダンリテールに語った。同社は2021年に、TikTokユーザーにブランドを紹介する簡単な動画を投稿した。「私が座ってカメラに向かい、ポッピーを創設した理由について語るだけの動画だった」と、同氏は語る。

それから2年近く経過した現在、オーガニックと有料マーケティング活動のミックスにより、この動画の再生回数は6000万回に迫っている。

「この動画は今でもコンバージョン数が1位の広告で、当社はもう2年近くにわたってこの動画に広告費を投入している。通常なら、同じ広告を2年間も続けることはない。ほかのプラットフォームの多くでは、あり得ないことだろう」と、同氏は回想する。「純粋に売上の観点から言えば、10倍のリターンを得られた」と、同氏は付け加えている。

エルズワース氏は、この動画は金曜日の夜に投稿され、翌日にはポッピーがAmazonで一晩で10万ドル(約1290万円)以上の売上を記録したと付け加えている。しかし同氏は、ポッピーのTikTokにおける総合的な目標は、「圧倒的なブランドへの認知を作り上げ、顧客をファネルの下部に誘導し、今すぐ購入するようにコンバートする」ことだと語る。

リーチ力とバイラル力

またポッピーは、TikTokで2年間運用したことにより、自社のメールやSMSのリーチが50万人近くに達したと、同氏は述べている。

ポッピーにとって効果的だったもうひとつのTikTokの機能は、同プラットフォームのスパークアズ(Spark Ads)もあると、エルズワース氏は語る。この機能によってブランドは、トレンドになっているユーザーのオーガニック投稿を、有料の出資で支えることができる。「自分のページで実際に広告を行う必要はなく、別の広告とすることができるため、有料広告を行うための非常に優れたプラットフォームとなる」と、同氏は述べている。

消化管の健康サプリメントを販売しているアラーエ(Arrae)も、成長の頻度が高いこのプラットフォームを活用するためにオーガニックなコンテンツを投稿してTikTokの利用を開始し、2021年初頭には、わずか数カ月でフォロワー数をゼロから3万まで増やした。

アラーエの創業者であるニッシュ・サマントレイ氏は、ウェルネスブランドである同社は、通常のTikTok投稿をもっとも近い形に模倣する広告によって成功したと語る。これには、「極めてネイティブなテキストとネイティブなフォント、そしてカメラへの話しかけ方まで」のすべてが含まれると、同氏は述べている。

同社が最初にTikTokのアカウントを開始したとき、「非常に急速に成長でき、多くの再生数を獲得し、ごく迅速にバイラル化できる時期があった」。しかし、これはしだいに困難になってきていると、同氏は語る。

TikTok広告への支出をさらに増加

それでも、アラーエは2023年、このプラットフォームに100万ドル(約1億2900万円)近くを投資する計画があると、同氏は語る。これは、TikTokが時間をかけて広告プラットフォームをより洗練されたものにするために改良してきたことが理由だ。

「TikTokがデータを収集する方法、アルゴリズム、AI、そして広告の実行と表示を行うための全体的な構造が改良された。我々のような人々にとって、このプラットフォームで広告を実行すると、本当にリアルタイムで改良されていくことが確認できるため、興味深い。そしてプラットフォームが改良されるほど、多くの資金を投資しようという気になる」と、サマントレイ氏は付け加えている。同ブランドの広告支出すべての約25%がTikTokに使われていると、同氏は米モダンリテールに語った。

ポッピーも同様に、時間とともにTikTok広告への支出を増やしてきた。昨年、同社のTikTokへの支出は2021年より100%増加した。2023年は、2022年に比べて約40%増の広告費を投入することを計画している。

「TikTokはダイナミックなプラットフォームなので、従来よりもさらに大きな効果が得られるのなら、いつでもためらいなく多額の支出を行う」と、エルズワース氏は付け加えている。

[原文:‘Your dollar goes a little bit further’: Smaller brands are finding TikTok to be a more profitable advertising channel]

VIDHI CHOUDHARY(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)

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