上空から捉えた峡谷系
火星探査機「マーズ・エクスプレス」が撮影したマリネリス峡谷(またはマリナー峡谷)は、地球のグランド・キャニオンと比べて長さは10倍、幅は20倍、深さは5倍の峡谷系。スケールが大きすぎてピンと来ないものですが、地上数マイルからの空撮写真を見ると、火星の地形は地表を走る探査機による画像から認識していたよりも随分とダイナミックなんだと気付かされます。視点って大事。
地球の雲のように見える、火星の雲
マーズ・エクスプレスに搭載されているカメラ2台が、北極付近で巻き上がった火星の砂嵐を捉えました。この比較画像は火星の雲と地球の雲が構造に似ていると示しているようで、なかなか興味深いですね。2つの惑星の間には多くの相違点があるにもかかわらず、類似点があると気付かせてくれる1枚です。
不安定な岩
これは宇宙人の仕業に違いないと思われそうですが、違います。6月にパーサヴィアランスが見つけたのは、地面から突き出ている大きな岩石の上にそっと置かれたような岩。これはどうやら岩石層の専門用語で「不安定な岩(precariously balanced rock、PBR)」というようで、地球上にも生じるとのこと。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による火星の初撮影画像
ウェッブ宇宙望遠鏡は、9月に近赤外線カメラ(NIRCam)で火星を撮影。この最新鋭の望遠鏡は、赤い惑星の地表の特徴を捉えました。ホイヘンス・クレーター、ヘラス平原、大シルティス、北半球の低地と南半球の高地とを隔てる暗い色の領域です。火星の大気から分光データも取得し、その組成についていくつかの詳細も明らかになったとか。
かの有名な、出入り口のような穴
探査機「キュリオシティ」が5月に撮影した、火星のシャープ山にある一風変わった岩石層は、誰が見ても宇宙人のドアだと思うような形をしていました。当然ながらNASAはネット上でささやかれた説を否定。どうやら問題の岩石の高さはたった1フィート(約30cm)で、2つの割れ目が交差したものなんだそう。特に火星では、見たいものを見ようと願望を投影しがちです。
隕石衝突の現場
2021年のクリスマスイブ、火星に隕石が衝突しました。その衝撃を、通常は火震からの地震波をキャッチする火星探査機インサイトが検知したのです。マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)搭載の高解像度カメラ「HiRISE」は、2022年にその衝突地点を撮影。隕石の衝突によって氷の塊が掘り起こされ、形成された大きなクレーターの存在が明らかになりました。
隕石が落ちる前(とその後)
同じくMROに搭載されているコンテキストカメラ(CTX)は現場の衝突前後を撮影していました。隕石が落ちたアマゾニス平原は、衝突前はどちらかと言えば何もない地域ですが、その直後は興味深い様相に。隕石の衝突した場所には黒く跡が残って目立ち、直撃した地点を囲むようにデブリが散っています。
絡まった紐みたいな火星のゴミ
7月にパーサヴィアランスの危険回避用カメラが、紐がもつれたような物体を撮影。NASAは正確には何なのか分かっていないものの、探査ミッションからデブリだと認めていました。この紐状の破片は空飛ぶスパゲッティ・モンスター教と関係があるのかも…なんてコメントも出ましたが、残念ながら宇宙探査のような高尚な仕事ですら別の惑星を汚してしまっているってことですよね。
続・火星のゴミ
火星ヘリコプター「インジェニュイティ」が捉えたのは、探査車パーサヴィアランスが火星着陸に成功した時に投棄したバックシェルとしわくちゃになったパラシュート。同探査車は2021年2月に火星に到着し、この4月に発見された器具類を捨てていました。かつて火星で撮られていた画像と比べると、この画像はかなり鮮明。歓迎すべき変化です。
火星で地震が起きた日
これは探査機インサイトの地震計(埃に覆われている)が火星での観測史上最大の火震を検知した日、5月4日に同探査機が撮った写真です。この火震は、地球で言うところのマグニチュード5に相当したとか。
キュリオシティも興味津々な薄片状の岩石
探査機「キュリオシティ」は、シャープ山を横切る際に薄片状の岩を発見しました。科学者たちはかつて火星には液体の水が存在していて、この岩はかつて水流があったところを示していると考えています。
インサイト、最後のセルフィー
火星着陸探査機「InSight(インサイト)」の最後の自撮り画像は、最後となる理由がまさに写っているからこそ目を見張る光景と言えます。ソーラーパネルに火星の塵が積もったせいで発電量は減り、生き残るのに十分な電力を得られない状態です。インサイトのチームは科学的な運用を長引かせるためカメラの使用をやめることに。そういうわけで、これが最後のセルフィーとなったのでした。