「ワンオペレーション」、コンビ二や飲食店で1人で業務を行う体制のことを指す言葉だ。個人の小さなお店なら1人で切り盛りしているケースも珍しくないのだが、有名飲食チェーンでそのような体制をとっていると、ちょっと心配になってしまうのは私(佐藤)だけではないはず。
つい最近大阪王将の世田谷店を訪ねた時、まさしくワンオペで昼の営業を行っていた。入店をやめようか迷ったのだが、入ってみると、非常に効率的にお店を回していて、見事なやり繰りに感心してしまった。
・覚悟して入店
どうしてこのお店はワンオペなのだろうか? その理由はわからないのだが、とにかくこの日(世田谷ボロ市の日)13時の段階で、お店にはスタッフが1人しかおらず、入り口にはこう書かれていた。
「一人営業の為、お席のご案内や商品の提供、お会計などお時間を頂く場合がございます。」
そのプリントアウトした紙から察するに、この日はたまたまそうなったのではなく、あらかじめ想定された状況のようだった。
一瞬入店をためらったのだが、すでに扉を開けかかっていたのでそのまま中へ。案の定、「しばらく(入り口の椅子に)おかけになってお待ちください」と言われた。スムーズに料理の提供や会計ができなくても仕方ない。むしろ、1人とわかって入ったのだから、いくらでも待とう。そう覚悟した。
・タブレットで注文
入店して5分くらいするとカウンター席の1人の客が立ち、続けてテーブルの2人客が店を後にした。スタッフはカウンターを片づけて私を案内してくれた。注文は入る前から決めていた。お店のオリジナル「世田谷サンラータンメンセット」(餃子なし税込1030円)である。
餃子なしなら彼の手をそこまでわずらわせることもないだろう。麺モノならチャーハンや焼きそばよりも楽なはず、そんなことも考えつつこのメニューに決めた。
注文は卓上のiPad miniでメニュー番号を入力するだけ。彼を呼び出して口頭で伝えずに済むから手間が省ける。客としても気が楽だ。
・1席1組で回している
料理を待っていると新しい客が入ってきた。彼はまた「満席です。しばらくお待ちください」という。テーブルが1卓空いていたが、片付いていない。彼は別席の料理を提供すると、先ほどの席を片づけて今来た客をそこに通した。続けて2卓が空いたところで、1卓だけ片づけた。
よく見ていると、常に1卓が空いている状態を作って、1組ずつ客を回しているようだ。なるほど、これならワンオペでも1組ずつ客をさばけば良い。席の稼働率を最低限にしぼって、店を回しているわけだ。
それから少しして私の注文した品が出てきた。かなり待つことを覚悟していたけど、それほど待った印象はない。
サンラータンメンは酸味と辛味が特徴の麺料理。スープに浮かんだラー油がいかにも辛そうに見えるのだが、食べると全然辛くない。スープの旨味とコク、ほのかな酸味がきいており、辛さはアクセント程度。大の甘党の私でも平気で食べられる。
ここ数日、グッと冬らしさが増して朝夕の冷え込みが厳しくなった。この日は快晴だったが、抜けるような青空の下を吹き抜ける風が冷たい。麺をすすると、胃袋に熱気が流れ込んで内側から身体が温まる。
・誰も幸せになれない
1人で店を回す彼は明るい顔をしていない。はっきり言って辛そうだ。それでもできる限りお客さんを待たせまいとして、ゆっくりではあるが確実に1席を回して、営業を続けていた。
どういう事情があってこうなったのかはわからないが、働く人の負担は確実に客にも影響する。チェーンであれば組織の力でこのような状況を避けるべきではないだろうか。結果的に誰も幸せになれないのだから、すみやかに対処されることを願っている。
・今回訪問した店舗の情報
店名 大阪王将 世田谷店
住所 東京都世田谷区世田谷3-1-1
時間 11:00~22:00(L.O.21:30)
定休日 なし
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24