早朝の社会科見学にいってきました。
日本一の魚市場、築地市場の場内市場にいってみたいなあと前々から思っていたのだが、あそこは素人が入っていいところなのだろうか。
築地市場、入りたいけれど、なんとなく怖い。観光気分でいったら、ターレーに轢かれそうだし。
そんな想いを水産関係の会社に勤めている友人に話したら、「知り合いが築地の寿司屋に勤めているから、一緒に仕入れへついていく?」という、願ってもない魅力的なお誘いをしてくれた。
よし、築地デビューだぜ。
※2007年2月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
築地の朝は早い
今回の築地仕入れツアーの集合場所は、築地場外にある老舗の寿司屋、「築地 寿司清」の本店。時期は年末、時間は朝の六時半。今日はこのお店の仕入れについていくのだ。
築地でのプロによる仕入れについていき、少しでも学べるところは学んで、次回以降、築地という巨大な市場で、一人でお買い物ができるようになるのが目標だ。
寿司清の仕入れ担当である専務、部長、課長、そして友人2名と私という、総勢6名の一団にて、まだ夜も明けきらない築地市場へと向かう。
ちなみに寿司清は、寿司屋といっても30以上の支店を持つ株式会社なので、部長とか課長という役職があるそうだ。
築地の朝は早い
細い通路を縦横無尽に走りまわるターレーをすり抜けて、市場の中へとズンズンと進んでいくプロの仕入れ人達。私にはどっちの方向に進んでいるのかすらまったくわからない。はぐれたら確実に迷子になるので、遅れてなるものかとついていくのだが、専務たちの歩くペースが速い速い。
いや、仕入れにきている専務達だけでなく、築地で働いている人達全員の動くペースが速い。心拍数が私の1.2倍くらいはある感じ。朝7時前だというのにみんなハイテンション。
市場は朝が早くて忙しい場所っていうのは、理屈ではわかっているんだけれど、実際に目の当たりにしてビックリした。
よかった。一人でこなくて。
目に映るものすべてが面白い
仕入れ部隊は、市場内をズンズンと進み、仲卸と呼ばれる場内の魚屋さんにいき、魚をチェックしたり、ちょっと話しをしたりして、またすぐに別の魚屋さんへとズンズン進む。
私はその間に観光気分丸出しでパシャパシャと写真を撮ってニヤニヤする。築地市場を構成する見たことのない魅力的な物体達(冷凍マグロとか)が、一歩進むごとに次々と目の前に現れてくるのだ。これがもの凄い楽しい。
仕入れはどうなった
場内の魚屋を数件廻ったが、仕入れにきたはずの専務達の荷物はまったく増えていない。あれ、今日は魚を買わないのだろうか。専務達とは今日が初対面なので、突っ込んだ話もできず、悶々としたまま時が過ぎていく。
終わってしまった
結局、なにがなんだかよくわからないままに、仕入れツアーは手ぶらのまま終了してしまった。マグロやイカをいっぱい担いでお店に戻ってくると思ったのに。
専務達にお礼をいって別れ、連れてきてもらった友人達と朝ご飯を食べに向かった。
「寿司清の寿司を食べにいくのでは?」という淡い期待があったのだが、向かった先は定食屋で、でてきた料理はカキバターだった。いや、いいんだけれど。
ご飯を食べながら、友人になにがなんだかよくわからなかった旨を伝えると、「30以上の支店がある寿司屋の仕入れと、普通の買い物は全くの別物!」といわれてしまった。
そういうことは先にいっていただきたい。なんでも、私が気がつかなかった間にいろいろな仕入れが終わっていたらしい。
なにも理解できなかったのが悔しいので、改めてもう一回連れていっていただくことにした。
また築地にやってきた
年が明けてしばらくして、また同じメンバーで築地市場へ参戦。前回の仕入れツアーでは、初めての築地で見るものすべてが楽しくて、仕入れの様子にまで気が回らなかったので、今回は気を引き締めて、専務達の動きに注目したい。
専務達に会うのは、もう二回目なので、前回より少しは話せるはずだ。たぶん。
仕入れはすでに始まっていた
待ち合わせ場所の寿司清本店に到着すると、すでに専務がどこかに電話をかけている。勝負師のような真剣な表情だ。
見た目はおっかないがきっと気は優しい課長に聞いてみたら、
「アジとかイカとか、毎日仕入れるものは、信頼できる仲卸に電話して届けてもらうんだよ!」
との事。電話で支店に仕入れ量を聞いて、仲卸に値段を確認し、魚を仕入れているのだという。
なるほど。価格や入荷量がある程度安定した魚だったら、信頼している店に任せても大丈夫ということか。
じゃあ毎日築地にいくのはなんでだろう。
築地場内へ仕入れにいく
前回同様、早足でズンズンと築地場内へと進んでいく仕入れ部隊とそのおまけ達。今回はキョロキョロしないで、専務達に注目するぜ。
場内は区画が番号で表されているらしい
ズンズンと進んでいく専務や課長にとっては、築地場内は庭のような場所なのだが、一回二回来たくらいでは、今自分がどこにいて、どっちに向かっているのかがまったくわからない。
課長曰く、場内は通りや区画の名前が、数字やイロハで表されているので、それさえ理解していれば迷うことはないらしい。今度築地にくるときは、それを頭に入れてからこよう。そのほうがきっともっと楽しいはず。
仲卸で仕入れをする
ズンズンと進んで目的地である仲卸到着。前回はきらびやかな魚達に目を奪われてしまったのだが、今回は仕入れの様子をチェックするのだ。
専務が仲卸となにやら交渉をしている横で、課長に解説してもらったところ、すでに電話で注文済みのレギュラーの魚以外で、オススメの魚を聞いているのだそうだ。これがいわゆる「今日のオススメ」として寿司のネタになるやつらしい。
魚は季節、天候、産地、漁獲量などによって、値段も品質も毎日変わってくるので、いいネタを揃えるためには、このチェックが欠かせないのだという。
もちろん、さっき電話注文した分にしても、この「毎日のチェック」があるのとないのでは、届く魚の質も変わってくるのだろう。毎日会って話をすることが、仲卸と寿司屋の信頼に繋がっていくのだ。たぶん。
専門店を廻っていく
一言で仲卸といっても、いわゆる魚一般を扱う店以外に、マグロの店、エビの店、貝類の店と、細かく専門に別れている店が多く、寿司屋ではいろいろなネタを使うので、それぞれの専門店を廻って仕入れをしていく。
前回きたときは、「いろいろな店があるなあ」くらいにしか感じなかったが、そういうことを理解した上で店を廻ると、順番に寿司ネタが揃っていくような気がして楽しい。しかも課長の解説付きだぜ。
私も買ってみた
これだけ新鮮な魚が店頭に並んでいたら、なにか買ってみたくなるのが魚介部としての人情というもの。とはいっても、生魚をキロ単位で買っても食べきれないので、保存食用に牡蠣のオイル漬けでもつくろうかと、加熱用牡蠣を1.5キロ買ってみた。
築地市場、一般の人でも、ある程度まとまった量なら、場内で普通に買うことができるようだ。店次第かも知れないが。といっても、観光客は基本的に邪魔な存在なので、築地場内はプロの人優先の場所と考えていた方がいいみたい。
とても楽しかった
そんな感じで、第二回仕入れツアー無事終了。二回目にしてようやく、専務達が市場内でなにをしていたのかが少しだけ理解できた。牡蠣も買えたし大満足だ。
専務達にお礼をいって別れ、連れてきてもらった友人達と朝ご飯を食べに向かった。
「今度こそ寿司清の寿司を食べにいくのでは?」という淡い期待があったのだが、向かった先は洋食屋で、でてきた料理はマグロの尾のステーキだった。いや、いいんだけれど。
次はいろいろ買ってみたい
2回に渡ってプロの人達に連れていってもらった築地市場。やっぱり寿司屋にとって仕入れというのは、一日たりとも気の抜けない、とても大事な仕事のようです。
築地市場は、魚好きには本当にパラダイスみたいな場所でした。図鑑などでしか見たことのないようなマニアックな魚が普通に並んでいて、どれもこれも買いたくなります。何度でもいきたい場所です。
しかし、やっぱりあそこはプロ達が集う仕事場なので、素人の私が一人で行くときは、少し時間を遅らせて、市場内が落ち着いてからにしようと思います。
■取材協力:築地寿司清