服用すれば死に至る高純度の亜硝酸ナトリウムが、自殺マニュアルや計量器とともにAmazonで販売されているとして、販売の差し止めを求める訴訟が提起されました。
Wrongful death lawsuit: C.A. Goldberg, PLLC, Amazon.com, inc.
https://www.cagoldberglaw.com/wrongful-death-plaintiffs-vs-amazon-com-inc-c-a-goldberg/
アメリカでは以前から、Amazonで販売されている亜硝酸ナトリウムが若者の自殺に用いられている問題が取り沙汰されてきました。亜硝酸ナトリウムは自家製のハムやベーコンを作る際の発色剤や防腐剤としても用いられていますが、約2gで致死量に達する劇物であるため、特に純度が高いものの販売が物議を醸しています。
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Amazonで購入した亜硝酸ナトリウムにより命を落とした若者の1人に、マイケル・スコット氏がいます。2020年12月21日、当時27歳のスコット氏はAmazon.comで98%の純度の亜硝酸ナトリウムと小型の計量器を購入しました。どちらも注文から2日後に到着したとのこと。そして、亜硝酸ナトリウムが届いてから3日間が過ぎた12月27日の朝、母親のルース・スコット氏が看護師の夜勤から帰ったところ、口から黒い液体を垂らしたスコット氏が苦痛の表情を浮かべながら亡くなっているのが見つかりました。
亡くなったスコット氏の遺族を代表してAmazonを提訴した弁護士のキャリー・ゴールドバーグ氏によると、Amazonでは自家製の加工肉を作るための硬化塩として販売されている純度6%の亜硝酸ナトリウムとは別に、化学実験で使用されるような高純度の亜硝酸ナトリウムが販売されているとのこと。極めつけに、Amazonでは亜硝酸ナトリウムを飲んだ人が吐き出さないようにするために使うシメチジン(商標名:タガメット)や小型計量器、自殺マニュアルとして用いられている書籍の「Peaceful Pill Handbook(Amazon版)」などが亜硝酸ナトリウムとバンドルして売られていました。
ゴールドバーグ氏はこれらを「自殺キット」と呼んで、自殺に使われる一連の商品をまとめて購入しやすくしているAmazonを非難しています。
selling suicide kits to households. Unlike other products that could be used for suicide (i.e. knives, ropes), there is no other use for Sodium Nitrite at this level of purity outside the laboratory. And Amazon was bundling SN with other products to basically create 5/
— Carrie Goldberg (@cagoldberglaw)
「医療関係者や保護者にこの問題を周知するにはニュースメディアで大々的に取り上げられる必要がある」と感じたゴールドバーグ氏らは、以前別の社会問題で協力したことがあり、CBSの有名ドキュメンタリー番組「60ミニッツ」のプロデューサーでもある人物に連絡を取りました。しかし、この番組で取り上げるのに必要な13分間の枠が取れなかったため、プロデューサーからニュースチームを紹介されたとのこと。これにより、ゴールドバーグ氏らは5分間のニュース番組を2日続けて放送してもらえることになりました。
They told us they didn’t think they could get the 13 minutes they’d need for a 60 Min segment and urged us to work with their news team. They said they could maybe get two five-minute segments on consecutive days. 23/
— Carrie Goldberg (@cagoldberglaw)
そして、ゴールドバーグ氏のクライアントである遺族たちも、CBSの番組に出演することを決意します。亜硝酸ナトリウムが入ったAmazonの箱を見逃したという自責の念にさいなまれている遺族にとって、CBSの取材に応じるのは勇気の要る決断でしたが、「亜硝酸ナトリウムの自殺問題について全国ニュースで注意喚起できるまたとないチャンス」というゴールドバーグ氏らの勧めや、必ず親身かつ慎重に取材をすると請け負ったプロデューサーの言葉が、大切な家族を失った人たちの背中を押しました。
しかし、取材の日時が決まった矢先に、ゴールドバーグ氏の元に取材をキャンセルするとの連絡が入りました。プロデューサーは、「番組を見た誰かがまねをして亜硝酸ナトリウムで自殺をする事態を避けるため」と説明しましたが、ゴールドバーグ氏らは「CBSの上層部に握りつぶされた」と考えました。なぜなら、CBSはAmazonと提携しており、Amazonプライム・ビデオでCBSの番組をストリーミング配信しているからです。また、自殺について取り沙汰することで自殺が増えることが懸念されるという説明も、これまで数々の自殺問題を扱ってきたことと矛盾しています。
He said it was because they didn’t want to risk anybody dying from suicide on account of their segment. Well, I really let this guy have it.
My clients took it graciously, but they also saw through the explanation. 40/
— Carrie Goldberg (@cagoldberglaw)
このことについてゴールドバーグ氏は「CBSは、今は亡き子どもたちに自殺キットを販売したとしてAmazonを訴えている私たちのクライアントについての取材をキャンセルしました。このCBSの臆病な態度は、今回の訴訟がいかに急を要するものであるかをはっきりと私たちに突きつけました」と訴えました。
Last Friday, CBS cancelled a segment about our clients suing Amazon for selling suicide kits to their now deceased kids. CBS’ cowardice gave me renewed clarity about how urgent this litigation is. ????@naomi_leeds 1/
— Carrie Goldberg (@cagoldberglaw)
また、一連のツイートの末尾でゴールドバーグ氏は「私たちにとって明らかなのは、Amazonが故意に自殺から利益を得ているということです。この問題に光を当てようとする報道機関がないのであれば、私がTwitterと法廷でそれを果たします」と述べて、大手ニュースメディアさえ萎縮させてしまう大企業を相手にした法廷闘争への意気込みを語りました。
And proceeds as if it’s too big to be burdened by morality. If no news organization is willing to shine a light on this mass homicide, I’ll do it here on Twitter and in the courts. 45/
— Carrie Goldberg (@cagoldberglaw)
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