加速する宇宙ビジネスと比例して、天文学者が頭を悩ませているのが、人工衛星が天体画像に映り込んでしまう問題。今後、一段と数が増えるだろう人工衛星と宇宙研究はどう共存していくべきなのでしょうか。
人工衛星の高度を下げる
米連邦通信委員会(FCC)に向けた文書の中で、人工衛星の飛行高度を下げたことを明らかにしたSpaceX。
天体画像への写り込みを虚力減らすため、SpaceXが手がける衛星インターネットサービスStarlinkの人工衛星群300機の軌道変更を開始。いわく、対策は成功しているとのことで、太陽光の反射による画像写り込みは60%減少したといいます(チリのNSFヴェラ・C・ルービン天文台での観測場合)。
高度550キロから350キロへ
人口衛星300機の高度を下げたpaceXですが、地球低軌道上を飛ぶSpaceXの人工衛星は6,912機あります。SpaceXだけでこれ。
2022年、SpaceXは次世代Starlink衛星群として、7,500機の打ち上げ許可をFCCから得ました。初代Starlink人工衛星と比べると、次世代、さらにその先はよりサイズアップする計画で、つまり写り込みが深刻化していくことになります。
そこで、SpaceXは米科学財団(NSF)と連携し、次世代人工衛星群の写り込み対策に乗り出しました。その1つが、今回の高度調整。高度550kmを飛行していた人工衛星を350kmまで下げました。
SpaceXの解説によれば、高度を下げることで(低い高度の方が)、高速移動する人工衛星がたとえ写り込んでもボケる、地球の影に人工衛星が入る時間が増え太陽光に当たらない、光を反射しづらくなるといいます。米Gizmodoのメール取材で(高度を下げることは)地上観測に利点があると、NFSもコメントしています。
NFSいわく、一方で日の出日の入り前後の薄ぼんやりした時間帯は、逆に明るく写り込んでしまうリスクがあり、地球近傍小惑星などを研究する化学チームにはかえってデメリットとなる可能性もあるとのこと。
高度以外の対策
SpaceXは、NSFの他にも国際天文学連合(IAU)とも連携。人工衛星や搭載されるソーラーパネルの構造を変え、バイザーなどを設置することで反射を低減させる対策も行なっています。