TikTokのCO2排出量はギリシャ並み

たしかにスクロールしはじめたらキリがないもんなー、TikTokって。

ショート動画が中心のTikTokは、一度見はじめると次から次へと関連動画が出てきてキリがありません。時間を忘れて、「うわ、もうこんなに時間が経ってる」ってなることも。調査結果によると、そんなユーザーが世界中にいるであろうTikTokのCO2排出量はギリシャ並みだそうですよ。

SNS利用とCO2排出量の意外な関係

今回、ユーザーの滞在時間や電力源などによって、主要SNS、その中でもTikTokが特に気候変動に影響を与えていることが新たな調査結果で明らかになりました。

炭素会計コンサルティング企業であるGreenlyの報告によると、SNSの膨大なデジタルインフラが大量の電力を消費する要因になっているそうです。

報告書は、主要SNSであるX(旧Twitter)、Instagram、Facebook、TikTok、Snapchat、YouTube、Threadsの電力消費量や排出量などについて、アメリカ、イギリス、フランスの3カ国のデータを分析しました。

SNS運営企業の多くがいまだに電力源を化石燃料に依存しているため、プラットフォームが電力を消費すればするほど排出量が増え、温暖化に寄与しているといいます。

その中でも、動画中心のプラットフォームであるTikTokは、YouTubeと共に排出量が多すぎるツートップの片翼を担っています。Greenlyの分析によれば、動画のストリーミングはテキストや画像が中心のSNSと比べて別格の電力を消費するため、プラットフォーム全体の排出量が増加しています。

TikTokの排出量はギリシャ並み

TikTokの運営企業であるByteDanceは、2030年までに事業運営における炭素排出量をネットゼロにする目標に掲げています

この目標を達成するために、事業運営による排出量を90%削減し、残りの10%を高品質なカーボンオフセットプログラムで穴埋めするとしています。また、データセンターに使用する電力を100%再生可能エネルギーに切り替える計画を掲げています。

一方で、動画のストリーミングが膨大なエネルギーを消費する現状は変わりません。Greenlyの試算によると、TikTokのユーザー1人あたりの年間排出量は、ガソリン車で約196km走行するのに相当するとのこと。

さらに、報告書のユーザー数や利用傾向を世界規模に換算すると、TikTokの温室効果ガス排出量は年間で5000万トンを超える可能性があるとFortuneThe Guardianが指摘しています。これは、ギリシャ全体の排出量(5100万トン)に匹敵します。

Fortuneによると、ByteDanceはこの年間排出量を否定しているそうですが、自社の情報を提供するのは拒否したとのこと。ByteDance調べの年間排出量は、Greenlyの推定値の20%未満だと広報担当者は述べたのだとか。

環境団体のグリーンピースも、TikTokは他の大手テック企業と比較して包括的な持続可能性指標の開示を大幅に遅らせていると指摘し、脱炭素化に関する詳細な情報の提供を求めています。

他のSNSよりも多い電力消費量

前述の通り、TikTokは他のSNSよりも大量の電力を消費しています。断トツです。たとえば、TikTokは1分あたり15.81mAhの電力を消費しますが、この数値はFacebook(12.36mAh)やSnapchat(11.48mAh)を上回っています。TikTokの1分あたりの電力消費量は、2番目に多いFacebookよりも20%以上、最も少ないYouTubeの約1.5倍多くなっています。

さらに、ユーザーの平均利用時間を考慮に入れると、TikTokの環境負荷の大きさが浮き彫りになります。Statistaのデータによれば、全世界のインターネットユーザーは、2024年に1日平均で143分間SNSを利用したそうですが、TikTokのユーザーは1日あたり45.8分を同SNSに費やしています。これは、他のSNSと比較しても長く、その結果として、プラットフォーム全体のエネルギー消費と炭素排出量が増加しています。

TikTokが2030年までにカーボンニュートラルを達成するには、再生可能エネルギーへの移行だけでなく、サプライチェーン全体の排出量削減や運営効率の改善が不可欠です。また、持続可能性に関する透明性の向上と詳細なロードマップの提示も求められます。ByteDanceがこれらの課題をクリアして、持続可能な事業運営を実現できるかどうかが、プラットフォームの未来に大きく影響するでしょう。今のところあまり期待できませんけど。

Source: Greenly

Reference: ByteDance, Fortune, The Guardian, Greenpeace, Statista

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