「今日は走ろう」と思ってたけど天気が悪いからまた明日にしよう、と言いたいところですが、「明日やろうはバカやろう」。
多少天気が崩れても重い腰を上げて走り出せば、ラン終わりのビールとお風呂が待っています。そんな気持ちで向かったのが高尾山で行われたアークテリクス主催のトレランの試走会でした。霧に包まれて幻想的な山中を走るのは、ロードでは味わえないラン体験です。
雨で発揮した「シラン」の走り
トレランデビューで履いた「ノーバン」シリーズがアークテリクスのトレイルランニングの定番シューズなら、「シラン」(ウィメンズモデルはこちら)は2024年にデビューした新シリーズ。
「TRAVEL FAST&TRAVEL FAR(より速く、そして遠くへ)」というコンセプトを掲げ、2021年に米国ポートランドに設立された「フットウェアデザインセンター」で開発されたテクニカルトレイル用のマウンテンランニングシューズです。
「シラン」のアッパーは、通気性の良いメッシュと、タンと一体化したニットの履き口の2層構造。
収縮性のあるニットの履き口によってフィット感が生まれ、通気性のあるメッシュ素材は、この日のような雨天でも蒸れることがないうえ、水抜けも良くシューズ自体の重量増もありません。そして、ソールには濡れたフィールドでも抜群のグリップ感を発揮するVibram®のメガグリップを採用。
トレイルでの“濡れた木の根っこ”や“湿った落ち葉の絨毯”は、とくに注意が必要ですが、メガグリップなら頼りになります(もちろん注意が必要ですが)。
安定感と「転がり力」を両立した構造
全体のイメージとして、「ノーバン」と異なった印象を受けるのはロッカー構造。「岩」の「ROCK」ではなく、「揺り動かす」というソールがU字型になっている形状のことです。
いわゆるロード用厚底ハイテクシューズのそれのことですが、それをトレイルシューズに採用したというイメージです。こうすることで、前方への転がりを利用して推進力を生むことができるわけです。
ただし、トレイルでは安定感も重要です。
ラグ(シューズ裏のボツボツ)の大きさや高さは接地面によって変えられていて、つま先やカカト部分は高く、土踏まず付近は小さく細かく配置されているので、地面をしっかりと掴むように張り付いてくれる構造。
とくに下り坂で思うように踏ん張れないときには、こうした細部のスペックへの信頼感が増します。
雨の日に心が折れて走りたくなくなる気持ちは、みんな一緒だと思いますが、こうして重い腰を上げて走ってみるとシューズの性能がより際立って体感できるというメリットも。
レースなどで「走らなければならい日」のためにも、雨天のフィールドワークも大事にしたいですね。