アップルのAI体験を先取り。iPhone版「グーグル Gemini」と話してみた

GoogleのAI「Gemini(ジェミニ)」の、iPhome用アプリ「Google Gemini」が登場しました。本アプリでは、チャット機能と、音声による会話ができる「Gemini Live」が提供されます。

iOS上で動くAIといえば、これからサービスが開始されるApple Intelligenceが思い浮かびます。GeminiをiPhoneで使うことで、Apple Intelligenceの体験がどんなものになるのか、先取りできるかもしれません。

会話できるGemini Liveが使えるように

Image: App Store

Gemini、実はこれまでもiOSで使うことはできました。iOS用の「Google アプリ」では、Geminiのチャット機能や画像生成機能が使用できます。

ただ、今回の単独アプリ版Geminiの目玉はGemini Live。ライブ音声による会話型のやりとりができるという機能です。

Gemini Liveは現在無料で使用でき、アプリ画面の右下にある、三本線と星のアイコンから立ち上げられます。

10種類の声色も用意されています(個人的には落ち着いた男性の声が好み)。質問に対して自然に受け答えをしてくれて、途中でGeminiの言葉を遮っても、話の流れを理解してくれます。

Gemini Liveを使う時の注意点

ただ、Gemini Liveの使用にはいくつかの注意点もあります。現時点では、Gmailやドキュメント等のGoogle Workspaceのアプリには接続されておらず、連携して使うことができません。これらは、チャット形式では使用可能です。

会話を終了するまで、やり取りの内容を文字で読むことができないのもちょっと不便。また、たまに特定のフレーズで動作が止まることがあり、追加の呼びかけが必要になることもありました。

料理の手順の確認や、 メールのテンプレートの作成といった複雑なタスクは、ステップごとに会話をしていくとスムーズに行えます。

Gif: Google

正直、GeminiのAIの実力にはまだまだ改善の余地ありです。例えば、これから開催されるイベントの特定の展示内容について尋ねると、具体的な情報は提供されず、「ウェブサイトで確認してください」と言われてしまいました。

また、AIの回答を鵜呑みにするのはまだ早いです。

先日、Facebook上のAIチャットボットが非常に有毒なキノコのレシピを提供したこともありました。Gemini Liveにも同様の質問をしたところ、「安全かどうかを確認するためにキノコの専門家に相談することをお勧めします」と言いながら、謎のキノコ「ブラッシングアーススター」を使ったレシピを提案してくれました(注意:絶対に試さないでください)。

Apple Intelligenceと競合していきそうな予感

まだまだ改善が必要そうなGeminiですが、Geminiの真価が発揮されるのは、Googleが提供する他のアプリとの連携でしょう。Google Workspaceの機能を拡張し、メールを作ったり、データを整理したりできる生成AIサービス「Gemini for Google Workspace」は、まさにその代表です。

こうしたGeminiの発展は、同時に、AppleがApple Intelligenceで目指そうとしている方向と被っていくようにも思われます。Appleは、Apple Intelligenceがアプリ間を連携させ、メールから情報を取り出し、カレンダーに追加するといったことを、テキスト、または音声入力でできるようにしようとしています。

現時点で提供されているiOS 18.1のApple Intelligenceは、まだ完全なものではありません。次なるiOS 18.2の開発者向けのベータ版では、統合されたImage PlaygroundやChatGPTも提供されています。

AIが私たちの行動習慣を大きく変えようとしている今。お手軽に使えるGeminiアプリは、一足先に未来を体験させてくれます。