光る生き物は5億4000万年前から存在していたらしい

古代から光る動物はいた!

動物が光る不気味だけど美しい現象「生物蛍光」が、従来考えられていたよりもはるかに古くからあったことが、八放サンゴ綱の発光能力を調査していた研究チームによって明らかになりました。

5億4000年前から光っていた

八放サンゴ綱は、イソギンチャクやクラゲと同じ刺胞動物というグループに属する動物です。海洋に生息していて、光るんです。外部の光源にさらされて光ることを「生物蛍光」と言います。そして、Proceedings of the Royal Society Bに掲載された最新研究によると、少なくとも5億4000万年前から八放サンゴ綱は光続けていることがわかっています。

スミソニアン博物館の動物学者であり、この研究の共著者であるAndrea Quattrini氏は、Gizmodoに取材に対してメールで以下のように説明してくれました。

カンブリア紀に光を感知できる動物が進化したことから、私たちの研究は動物が急速に多様化し、新しい環境に適応していた時代に、八放サンゴ綱と他の種との間で光を介した相互作用が起こった可能性を示唆しています。今回わかったことは、生物蛍光が生命の樹に広く存在する多くの動物、特に深海に生息する動物にとって重要なコミュニケーションの手段であるということです。

Photo: NOAA Office of Ocean Exploration and Research

生物蛍光と生物発光の違い

八放サンゴ綱の発光は、ルシフェラーゼと呼ばれる酵素によって起こります。ルシフェラーゼは光を放つ化学反応を触媒します。これは、ホタルなどが持つ自分の体内の反応で光を放つ生物発光とは異なり、Quattrini氏によるとホタルはマグネシウムとATP(アデノシン三リン酸)を使用して点滅します。

昨年、別の研究チームが生物蛍光自体がこれまで考えられていたよりも一般的でレアな現象ではないことを発表しています(生物蛍光は外部の光源の下で起こり、自分の体内から光を出す生物発光とごっちゃになりがちです)。

2020年の研究によると、生物蛍光は少なくとも94回独立して進化したとされています。二枚貝の中に入っている小さなエビのような甲殻類の一種カイムシが、最も古く知られている例です。

系統樹を駆使して判明

生物蛍光がカイムシに由来した時期を解明するために、この研究チームは2022年にQuattrini氏のいるチームが作成したカイムシの進化系統樹を参照。次に、チームは2つのカイムシの化石を系統樹に配置し、系統が分岐した時期を特定。また、現在も生存している生物蛍光のある種を系統樹上にマッピングしました。

共通祖先が生存していた深い時代のおおよその時期を特定するため、祖先状態復元という手法を用いて系統樹を分析しました。その結果、約5億4000万年前、つまりカンブリア紀爆発の直前に共通祖先が存在していたことがわかりました。このカンブリア紀爆発は、爆発的にさまざまな奇妙な生物が出現した時期でした。

研究チームは現時点では、統計的な手法に頼って生物蛍光の起源を推定するしかありません。しかしQuattrini氏は「いつか古代DNAの解析技術が進歩し、本当に古い化石からルシフェラーゼなどのDNAを検出できるようになるかもしれません」と述べています。