2つの月探査衛星がすれちがう。それはとても珍しいこと

反対方向に月を周回している2つの月探査機が(数kmの高度差で)すれちがうという、珍しい出来事がありました。

NASAの月周回衛星「ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)」がクレーターだらけの月面を背景に撮影したのは、韓国パスファインダー月軌道船(KPLO)またの名を「タヌリ」。先日、数枚の写真が公開されました。

平行に近い軌道で月を周回していた探査機2機は、3月5日と6日にすれ違いました。LROは月を3回周回する間に、狭角カメラで数回タヌリの姿を捉えており、同機が不鮮明なシミのように見えるほど近かったそう。

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Image: NASA/Goddard/Arizona State University

この最初の写真では、中央にある暗い点がタヌリです。少し不鮮明なので、目を細めないと見つけられません。NASAによれば、撮影当時のLROは月面からの高度80kmの軌道を、タヌリはそんなLROの軌道の8km下を周回していたとのこと。

ちなみに画像は幅3kmの領域を網羅しています。

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Image: NASA/Goddard/Arizona State University

勢いよく通り過ぎる2つの探査機の相対速度はおよそ時速1万1500km。あまりのスピードで移動しているため、タヌリは潰れているように見えます。

LROのカメラの露出時間はたった0.338ミリ秒だったにもかかわらず、探査機タヌリは10倍ほどのサイズに伸ばされ、進行の逆方向に尾を引いたような写りです。

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Image: NASA/Goddard/Arizona State University

この画像の撮影時には、LROとタヌリとの距離は約4kmまで近づき、LROはタヌリに対して25度傾いていたそう。

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Image: NASA/Goddard/Arizona State University

左上にある巨大なボウル型のクレーターが目立ちますが、タヌリが写っているのは白枠で囲まれた部分。ちなみにクレーターの幅は12kmもあるようです。

この2機が月の上空で撮影会をしたのは、今回が初めてではありません。1年ほど前にタヌリは、月を周回中に同機の下を通過したLROの不鮮明な姿を撮影しています。そして今回、LROはそのお返しでタヌリのほっそりとした画像を捉えたのでした。

LROは月のパパラッチのごとく、インドの「チャンドラヤーン3号」といった月探査ミッション、さらにはロシアの月探査ミッション「ルナ25号」と日本の「Hakuto-Rミッション1」など失敗に終わった機体の姿も捉えています。

Source: NASA,

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