2021年11月5日の記事を編集して再掲載しています。
スパイ・ガジェットみたい。
折り畳めるディスプレイ、メタバースなあっちの世界、火星移住などなどハイテクノロジに注力する人がいる一方で、昔から存在するネジというアイテムの進化を模索する人もいます。ネジの世界を進む人が開発したこのネジ、ネジの頭にあるはずのアレがありません。プラスやマイナスの形の溝、そう、ネジの駆動部がないんです。いや、正確には「ある」けど、隠れているんです。
駆動部が見えないネジを開発しているのはAndrew Klein氏。ネジに精密加工を施し、通常駆動部となるエリアにバネを仕込み、専用のドライバがピタリとかち合うときのみ特定箇所を押し、回すことができるという仕組みを作り出しました。ドライバを抜けばバネの力で底が上がり、穴はすっかり隠れてしまいます。
駆動部の見えないネジの目的は、完成状態の美しさ。自分で組み立てるお手ごろ家具は、デザインや色はポップでかわいいものも多いけれど、どうしてもネジが表に出てきてしまう構造が多々あります。ネジはデザインの一部ではなく、たとえ表に出ていてもスルーするモノとして扱われているわけです。一方で、家具職人の作るこだわりのお高い家具は、パーツとパーツのつなぎ目にも気が使われており、ネジはうまく隠れる設計になっているものが多いですね。そこでKlein氏は、ネジ自体が美しければ、デザインのアクセントとして表に出していいのではと考えました。
さて、繰り返し「駆動部の見えないネジ」と言ってきましたが、このネジにまだ正式名称はありません。また、現在のところ、実際に商品化する予定があるのかについても語られていません。ただ、Klein氏のYouTubeでは、家具デザイナーや木工職人などからの意見・リアクションを見て次のステップを考えるという話なので、実現される可能性もゼロではなく。まぁ、そのときは結構なお値段になるでしょうけれど…。