逆回転の発想で救える人がいる。
どこの国でも、格差や貧困は社会問題ですよね。家を失い、外で暮らす人々が大勢います。ロンドンは大都市ということもあり、ホームレスが少なくありません。
ただ昔と違って今のホームレスはスマートフォンを持っており、生活に必要な各種申請や情報を得たり、連絡や送金受け取りなどが行なえる生命線になっています。
しかし電子機器の難点は電池切れです。彼らは充電できるスポットにアクセスしにくいため、日々とても困っています。
無人の自転車をちょいと拝借
そこで生まれたのがモバイルバッテリーの「My Powerbank」。
市の交通局が運営しているレンタサイクルに磁力でくっつくようデザインされ、レンタルせずともペダルを後ろ向きに漕ぐと、歯車の回転で発電できるよう設計されています。
100分漕いだらスマホを4回フル充電
25分間ほど漕ぐと、スマホのフル充電1回分になります。内蔵電池は2個あり、最大でスマホを4回フル充電にできる容量を備えています。
つまり「My Powerbank」自体をMAXにするには、100分間漕がなくてはなりません。自分がヒマなら時間が潰せますし、いい運動にもなりますね。
レンタサイクルは市の運営とはいえ、「他人のもので勝手に充電なんて…」と思うかもしれません。でもこれがないと、生きていけない人たちもいるわけです。
社会的に大事なガジェット
作ったのは、ロンドンの美大セントラル・セント・マーティンズを卒業したルーク・タルボットさん。
「My Powerbank」はデザインのコンペで受賞し、見事に賞金をゲット。地元のNPOや慈善団体からも協力を得ることができました。
製造はお古のバッテリー2個を使い、筐体を3D印刷して使い方は夜でも読めるよう取説が紫外線インクで印刷されています。
ひとつ作る費用は3ポンド(約550円)なので、必要な人たちにすぐ広がりそうです。
製品もサイクルさせたい
作者は製品化ができたら、将来は修理や回収・再配布などで循環させることを望んでいます。
「My Powerbank」そのものよりも、街のものを使ってサバイバルができ、人助けにもなるコンセプトが秀逸ですね。
© MullenLowe Global 2023. All Rights Reserved.
Source: YouTube, MullenLowe Global via dezeen