AmazonもAIに本気です。OpenAIのライバル企業Anthropicに巨額投資

Amazon(アマゾン)も本気でAI競争に乗り出した!

Amazonは、ChatGPTを運営するOpenAIの競合企業Anthropicへの巨額の投資を発表しました。しかもその額は40億ドル(約5900億円)AnthropicはAmazon Web Services(AWS)を使って、基盤モデルの開発をしていくそうです。

Anthropicってどんな会社?

今回Amazonが投資することとなったAnthropicは、2021年に元OpenAIの従業員によってサンフランシスコで設立されました。自然な会話ができるClaudeというAIアシスタントの導入で、基盤モデルのトップへと成長した企業です。

今年7月に発表されたClaude 2は、Amazonによると「より害の少ないアウトプット」だそうで、他の基盤モデルと比較して「より会話しやすく、より操作しやすい」と評価されています。

Anthropicは、Amazonと協力して「安全で信頼性のあるインフラストラクチャー」を運用するとしていて、Amazonの投資によって「Anthropicの安全で操作可能なAIを、広くAWSの顧客が利用できるようになる」としています。

2社が協力することで、AnthropicはAWSを主要なクラウドプロバイダーとして利用し、Amazonが独自設計したAWS TrainiumとInferentiaチップを使用して、AIの基盤モデルをトレーニングしていきます。

Amazonはプレスリリースで、AWSの顧客はAnthropicのモデルカスタマイズ機能とファインチューニング機能を先行して利用できると述べています。また、AmazonとAnthropicはAmazon Bedrockを使用して、共同で生成型AIアプリケーションを開発する予定です。

Anthropicはプレスリリースでこう掲げています。

「最先端のモデルをトレーニングするには、計算能力や研究プログラムを含む広範なリソースが必要となってきます。

Amazonの投資とAWS TrainiumおよびInferentiaテクノロジーのおかげで、われわれはAIの安全性と研究の最前線へと進めるために必要な装備を得ることができました」

AmazonもAI競争に参入

この投資は、他のテック企業がAI競争に参入した数カ月後の今年4月に、Amazonも参入したことを意味します。

Microsoft(マイクロソフト)はOpenAIに130億ドル以上(約1兆9400億円)、Google(グーグル)はAnthropicに3億ドル以上(約448億円)を投資したと報じられています。Amazonは当初、Anthropicに12億5000万ドル(約1870億円)の投資を約束したとWall Street Journalが報じています。

Anthropicは、2021年5月時点でシリーズC(スタートアップが黒字で経営安定した段階)の資金調達で4億5000万ドル(約672億円)を調達したと報告しており、CEOのDario Amodei氏はプレスリリースで以下のように述べています。

「主要な投資家やテクノロジー企業が、Anthropicのミッション、つまり安全性を最前線に考えたAIの研究と製品をサポートしてくれて、大変うれしく思っています」

AmazonのCEOアンディ・ジャッシー氏はこう言っています。

「私たちはAnthropicのチーム、そして基盤モデルを非常に尊敬しており、より深い協力を通じて、多くの顧客体験を改善できると信じています。

顧客はAmazon Bedrockや新しいAWSのサービス、さらにはAWS TrainiumやAWSのAIトレーニングチップに非常にワクワクしていて、Anthropicとの協力はこれらの2つの機能がさらに多くの価値を生み出してくれるでしょう」

Amazonはすでに他のAIの取り組みを導入しており、製品に関するポジティブ、そしてネガティブなAmazonのレビューを1段落でまとめるAI生成レビューなどを紹介しています。

また、5月にはAIツールを開発するチームを設立し、生成された写真や動画を使用してデジタルおよびオーディオ広告の収益を増加させるための広告収益を推進しています。

Amazonの製品担当幹部であるDave Limp氏は、Bloombergの取材に対して、AIのトレーニングは非常にお金がかかるため、「現在お使いいただいているAlexaは無料のままですが、数年後の高度なバージョンには定額利用料金がかかることをわかっておいてほしい」と話しています。