ChatGPTで知られるOpenAIの創業者サム・アルトマン氏が手掛ける新しい暗号通貨｢Worldcoin｣。7月24日にサービスが開始しました。
それに伴いWorldアプリもリリース。日本のAppleアプリストア、Googleプレイストアでもすでに配布されています。
どんなアプリなんだろ？という話の前に、Worldcoinについてちらっと。
Worldcoinの登録には、ユーザーが自分の瞳の虹彩をスキャンする必要があり、これがサービス最大の特徴。その虹彩スキャンを行なうのが、Orbと呼ばれる球体のスキャンマシンです。
世界でいち早くWorldcoinユーザーになろうと、Orbの登録場所では一部長蛇の列ができたところも。
なぜ虹彩をスキャンする？
Worldcoinのミッションは、新しいID（身分証）と誰でも恩恵に預かれる経済ネットワークを作り出すこと。
このミッションのために、虹彩スキャンで個人識別しWorld IDを発行。これをもって、そのほかの個人情報なしであれこれログインができるようになります。
また、World IDに紐づけてWorldcoinの仮想通貨WLDを付与。Worldcoinが注目される理由はここで、Worldcoinいわく｢人間であるというだけで仮想通貨が受け取れる｣のです。
はい、ここが肝。つまり虹彩スキャンすることで、人間とAIを識別しているのです。
ミッションの1つ、人間なら誰でも恩恵にあずかる経済ネットワークは、これからのAI時代におけるベーシックインカムという立ち位置を目指しているのです。Worldcoinの経済ネットワークは人間だけのもの！
アプリ登録してみた、何ができる？
東京在住ではない私は、Orbによるスキャンがすぐにできない（現在、日本のOrb設置場所は東京都内の3カ所のみ）ので、アプリ登録だけ先にやってみました。
アプリは基本3画面。デジタルウォレット・World ID・ボーナス付与リマインダーです。
デジタルウォレットは、仮想通貨ユーザーならば慣れたものかな。通貨を送金（Worldアプリに通貨を入れるには、自分のウォレットや仮想通貨取引所と紐づける）、仮想通貨の売買（現時点ではビットコインとイーサリアムのみ対応）が可能です。Wordcoinのレートも確認できます。
World IDは虹彩スキャンしないと使用できず。このページで近くのOrbロケーションを確認・予約できます。
ボーナスリマインダーは、人間が人間であることでもらえる仮想通貨の付与時期が表示されています。虹彩スキャンがまだの人は、このページでスキャン→ID発行でもらえるボーナスを予約しておけます。
ちなみに1度目のトライでは、アカウント作成のパスワード登録後の画面で下のようにフリーズ。後にも先にも戻れず。アプリ削除してダウンロードし直してもダメ。にっちもさっちもいかなくなりました。
そのまま放置したところ、翌日には解決していたので、なんかまだいろいろ不安定なの、か、な。
※アプリ以外にも、Worldcoinの公式サイトでもOrb設置場所は確認できます。
では、サービス開始でソッコースキャンに行ってきた米Gizmodo編集部の体験を見てみましょう。
米Gizmodo編集部が虹彩スキャンに行ってきた
ニューヨークにオフィスがある米Gizmodo編集部。オフィス近くにあるOrbにポップアップで瞳をスキャンしてきました。
まず、米編集部が最初に感じたのは｢空いてるな…｣ということ。
長蛇の列に並ぶ覚悟で訪れた米編集部でしたが、Orbポップアップを訪れたときに、ほかにいたのは1人だけ。それもそのはずで、アメリカではサービスインしていません。Worldcoinの目玉とも言えるコイン分配もありません。
これには、創設者であるサム・アルトマン氏も｢ワールドコインの『ワールド』にまさかアメリカが含まれないことになるとは…｣と苦笑いです。
スキャン前の確認あれこれ
ポップアップ場所では、専門スタッフと共に瞳をスキャンします。
アプリで事前にアカウントを作っていない人は、その場で作成。その後年齢確認。18歳以上が対象です。
ちょっと特徴的なのがスキャンした虹彩画像の保存。今回スキャンする虹彩画像を、将来的なアルゴリズムのトレーニング用に保存するかどうかを選択します。
これ、NOにすると、Worldcoinのアルゴリズムがアプデされるたびに、Orbでの虹彩スキャン登録をし直す必要が出てくるかもしれないとのことです。
瞳スキャンの一連の流れ（スタッフとのやりとり含む）で、名前や電話番号、メールアドレスなどは一切必要なし。もちろん、スタッフさんに聞かれることもありません。
米編集部いわく｢たぶんOrb盗難対策｣として、スキャンのときスタッフがその場にいたという証拠になるQRコードが提示されたとのこと。
いざ、スキャン！
虹彩スキャンそのものは、米編集部に言わせると｢ほんの数分の体験は、手軽で快適で、どっちかっつーと平凡、フツー。そして、明らかにディストピア｣だそう…。おぅ。
スタッフがOrbを掴み、米編集部員の頭上に掲げるので、中にある白い丸を見つめます。
見つめること30秒ほど。スキャン失敗。ヒゲなど顔の毛が邪魔してスキャン失敗することはまぁまぁあるそう。気を取り直して2度目のトライ。今回は5秒ほどでスキャン完了！
以上！
自分の順番が回ってきてから数分でおしまいです。
虹彩スキャンと聞くと身構えますが、プロセス自体はあっけないものみたいですね（ちなみに登録後、編集部同士で相手のWrold IDアカウントにログインしようとしたところ不可。虹彩認証しっかり働いています）。
さて、Worldcoin、世界のスタンダードID兼通貨となるのでしょうか。
Source: Worldcoin