人間ならエベレストくらいの身長の巨大バクテリアが発見される

GIZMODO

※この記事は2022年6月26日に公開された記事を一部編集して再掲しています。

エベレストの背の人がいたら、そりゃ人間とは思えないのと同じですね…。

カリブ海のグアドループという島で水中に生息する規格外のバクテリアが科学者チームによって発見されました。「チオマルガリータ・マグニピカ」と名付けられた新発見のバクテリアは、あまりにもデカすぎて肉眼で見えてしまうバクテリアらしからぬバクテリア!

その巨大さ以外にもユニークなのが、バクテリアの中では複雑な構造をしているということ。一般的なバクテリアのように細胞の中でDNAが浮いているのではなく、我々人間と同じく遺伝子情報が膜結合型の中に包み込まれているのです。科学ジャーナル『Science』に詳しくその生態について研究結果が発表されています。

Jean-Marie Volland

「今回発見したバクテリアはまつ毛のような形をしていて、一応単核細胞です。一般的なバクテリアの5,000倍の大きさなのですが、わかりやすく言うなら人間界で突然エベレストくらい背が高い人が現れたような規格外の巨大さですね」と話すのは、この研究の著者の1人でローレンスバークレー国立研究所の海洋生物学者であるJean-Marie Volland氏。

もともと、この超巨大バクテリアは2009年にすでにグアドループでアンティユ大学の生物学者で今回の論文の共著者でもあるOlivier Gros氏が発見していたのですが、透明で、目に見えるほどの大きさであることに加え遺伝子情報を包む膜があったため、真核生物だと思っていたそうです。

しかしサンプルを研究所に持ち帰って顕微鏡で見てみると核もミトコンドリアもないことがわかり、硫黄果粒を見つけたことから原核生物であることがわかりました。チオマルガリータ・マグニピカと名づけられたそのバクテリアは、遺伝子情報をペピンと呼ばれる長い膜の中に格納していることから、このような巨大な体長になっているとのこと。でもバクテリアがどうやってこんなふうに成長していくのかは謎だということです。

今のところ発見されている場所もグアドループのマングローブの中だけなので、生態系でどのような役割をしているかもまだ確かではないままですが、見つけて間もないので季節によってどのような活動をするのかを観察していきたいと著者は話しています。