DeNAのトレバー・バウアーが本領発揮だ。中4日の登板となった2023年6月14日の日本ハム戦(横浜)に先発。3安打1失点で来日初完投勝利を飾り、今季4勝目をマークした。
「首位・阪神を追い上げる上でバウアーの存在は心強い」
闘志十分だが、冷静だった。表情を変えず、淡々とテンポよくアウトを積み重ねる。6回2死でアルカンタラを高めの直球で空振り三振に仕留めた際は頭の上に両手を上げ、刀をさやに納めるパフォーマンス「ソードセレブレーション」を披露した。
7回に万波中正にソロを被弾したが最後まで投げ切り、来日最多の12奪三振。ラストバッターとなった加藤豪将の対戦ではこの日最速の156キロをマーク。113球を投げ込んだが涼しい表情を浮かべ、お立ち台で、「ヨコハマサイコーチョー!」と叫んだ。
サイ・ヤング勝右腕は登板を重ねる度にパフォーマンスを上げている。交流戦は3試合登板で3勝0敗、防御率1.50。バッテリーを組む伊藤光のサインに首を振る場面が減り、呼吸も合ってきた。スポーツ紙デスクはバウアーの凄さについて、こう語る。
「中4日で最後まで投げ抜くスタミナ、制球力、変化球の精度と全てにおいてモノが違う。DeNAの投手たちの良きお手本になるでしょう。首位・阪神を追い上げる上でバウアーの存在は心強い」
バウアーは21年に女性に対するDVの禁止規定違反で出場停止処分に。昨年は登板なしに終わり、今年1月にドジャースから契約解除となった。メジャー他球団も獲得を見送ったため、日本で出直すこととなった。
21年6月から実戦のマウンドに上がっていためブランクが懸念されたが、メジャーを代表する右腕はさびついていなかった。親日家でも知られ、ファンの心もがっちりつかんでいる。気分良くプレーしているバウアーが白星をどこまで積み重ねられるか。25年ぶりのリーグ優勝に向け、カギを握る存在であることは間違いない。(中町顕吾)