東工大、300GHz帯での高速無線データ伝送に世界初成功

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フェーズドアレイ送信モジュールによるビームフォーミングのイメージ図と本実験の成果

 東京工業大学 工学院 電気電子系の岡田健一教授らと日本電信電話株式会社(NTT)の研究グループは、第6世代移動通信システム(6G)への無線通信速度の高速化として、300GHz帯のフェーズドアレイ送信モジュールを開発し、ビームフォーミングを用いた300GHz帯高速無線データ伝送に世界で初めて成功した。

 300GHz帯の電波は、広帯域をサポートできる一方、空間を伝搬する際の電波損失が大きいという課題がある。また、この電波損失を克服するためのビームフォーミング技術は、5G無線システムでのビームフォーミングではCMOS-ICに実現されてきたが、300GHz帯だとCMOS-ICのみでは出力電力が不足する問題があった。

 研究グループは、高出力なパワーアンプ回路とアンテナを一体集積したInP-ICを開発。さらに、周波数変換回路や制御回路等を搭載した高集積なCMOS-ICとInP-ICを同一プリント基板上に実装した4素子フェーズドアレイ送信モジュールを実現。これにより、ビームフォーミングを用いた高速無線データ伝送に世界で初めて成功したという。

フェーズドアレイ送信モジュールと伝送特性実験時の写真

 研究グループは今後、6Gのアプリケーションとして期待されているKIOSKモデルやフェムトセルなどの近距離移動体通信に展開するほか、2次元ビームフォーミングの実証やアレイ数の増加による通信距離の拡張などに取り組むという。また、従来よりも10倍以上の伝送容量を有する無線通信の実用化を目指すとしている。

フェーズドアレイ送信モジュールの3次元分解図およびチップ写真

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