中高生もスマホで小遣い稼ぎ–未成年狙う「副業詐欺」投稿に注意

CNET Japan

 中高生もスマホでお小遣い稼ぎをしていると言ったら、驚くだろうか。中高生の懐事情や使い道、お小遣い稼ぎ実態とリスクについて見ていきたい。

余裕がない–中高生の懐事情

 テスティーの「中学生・高校生のお小遣いに関する調査(2022年版)」によると、中高生の7割以上がお小遣いをもらっている。ひと月のお小遣いの金額は、中学生は「1000〜3000円未満」が55.0%で最多、「3000円〜5000円未満」が19.8%、「1000円未満」が15.8%など。高校生は「5000円〜1万円未満」が33.7%、「3000円〜5000円未満」が30.7%、「1000〜3000円未満」が22.8%などとなっている。

 中高生とも使い道の1位は「友達と遊ぶための交際費」であり、中学生は「貯金」「お菓子や飲料などの飲食代」と続き、高校生は「お菓子や飲料などの飲食代」「ゲームや漫画などの娯楽品購入代」と続く。中高生のもらっているお小遣いでは、テーマパークやアミューズメントパーク、カラオケやボーリング、プリクラなどの遊びに出かけることを考えると、とても足りない。部活の帰りにファストフードに寄るだけでも、すぐに底をついてしまう金額なのだ。

 ではアルバイトなどをすればいいのではと考えるかもしれないが、そもそも中学生は労働基準法によって労働は原則禁止とされており、バイトなどはできない。

 高校生は年齢的には可能だが、マイナビの「高校生のアルバイト調査(2023年)」(2023年4月)によると、現在アルバイトをしている高校生は23.8%、就業経験はあるが現在非就業の割合は15.3%であり、就業経験なしが61.0%に上る。学校で禁止されているところも多く、受験勉強などでバイトはできないということも多いのだ。

コスパ、節約、タイパに興味があるZ世代

 Z世代を対象に調査をすると、「節約」「コスパ」「儲け話」「投資」「タイパ」などが世代共通の意識であることがわかる。筆者調査でも、大学生は「コスパ(コストパフォーマンス)重視」は60.6%、「タイパ(タイムパフォーマンス)重視」は33.1%、「節約に興味がある」は21.3%が「自分に該当する」と回答している。

 今どきの10代向けファッション誌などでは、ブランドものが幅を利かせているということは、決してない。「100均活用」「節約テク」「プチプラコスメ」「ポイ活」など、節約してお手頃価格でおしゃれをしたり楽しんだりすることが当たり前とされている。

 とはいえ、前述のような「友達と遊ぶための交際代」や「お菓子や飲料などの飲食代」「ゲームや漫画などの娯楽品購入代」、ファッションやコスメなどにはお金がかかる。スマホゲーム、SNS、ライブ配信での投げ銭など、課金やお金を使いたくなる環境もある。しかし、この不況の中、親へのおねだりが難しいこともわかっている。

 そこで中高生は、ポイ活やフリマアプリでお小遣い稼ぎをするようになるのだ。だが、ポイ活やフリマアプリでは大きな収入は見込めない。

お小遣いがほしい中学生は多い

 「中学生 副業」などで検索すると、多くの情報がヒットする。

 そこでは、「アンケートモニター」「LINEスタンプ販売」「転売、せどり」「データ入力」「スキル販売」「クラウドソーシング」「アフィリエイト」「ライブ配信」「YouTuber」など、さまざまなものが紹介されている。多くは、スマホさえあればできるものばかりだ。

 この時、「口座なし」というものが関連キーワードとして表示される。15歳未満の子どもが銀行口座を開設する場合、親権者の同意と本人および親権者双方の本人確認書類が必要になる。保護者に隠れて稼ぎたい場合は、銀行口座が用意できないのだ。

 ポイントサイトやアフィリエイト、フリマアプリでの販売などは口座なしでも可能なため、人気となっているようだ。このような情報がブログやサイトに多数ヒットするのは、それだけお小遣いがほしいと考える中学生が多いのが理由だ。

「#中学生副業」は詐欺、応募しないこと

 「#中学生副業」というハッシュタグを見たことはあるだろうか。TwitterだけでなくInstagramなどでも投稿されており、「口座不要」「即日・即金」「コンビニ受け取り可」「ノンアダルト」「スマホのみで稼げる」「サイト登録なし」「ノルマなし」「辞退自由」「安心安全」「親バレなし」など、都合が良い説明が並んでいる。

 このような投稿には「#ジャニーズ好きな人と繋がりたい」「#推しのいる生活」などの推し活系のハッシュタグがつけられており、推し活をしてお金がない中高生の目に留まるようになっている。ズバリ「グッズ代、チケ代、遠征費などを副業で賄いませんか」という投稿もあった。

 このような投稿のほとんどは、具体的に何をするのかが書かれていず、詳細はDMまたはLINEでのやり取りとなる。応募した場合、多くはやり方を教えるとして登録費を巻き上げられることになる。中高生はPayPayなどで支払わされたり、メルカリで特定の出品物を買わされて、代金を取られたりなどでお金を奪われる。あるいは、ポイントを稼ぐ目的で特定のサイトに会員登録などをさられることも。

 成人向けと同じく、このような投稿は詐欺であり、お金か個人情報を奪われて終わることになる。未成年はこのような詐欺が蔓延していることを知らず、警戒していないことが多いので、危険を伝えて見守ってあげてほしい。

 今の中高生にとって、スマホだけで稼げることは当たり前の感覚だ。実際にスマホで稼いできた経験もある上、もっとお小遣いがほしいと思わせる環境も整っている。しかし、中には詐欺投稿も多いので、周囲の大人は注意して見守ってほしい。

高橋暁子

ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNS、10代のネット利用、情報モラルリテラシーが専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育に詳しい。執筆・講演・メディア出演・監修などを手掛ける。教育出版中学国語教科書にコラム 掲載中。元小学校教員。

公式サイト:https://www.akiakatsuki.com/

Twitter:@akiakatsuki

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