ちょっとこれは驚いた……あまりいい意味ではなく。何の話かというと、2023年6月13日から発売となった松屋の新商品『チキン定食』がビックリするくらい普通だったのである。49点でも51点でもなく “ジャスト50点の商品” としか申し上げられない。
松屋の「チキン定食」は1980年に初登場し、このたび40年以上の時を経て復活するというから、それなりに期待していたのだが……。「チキン定食」を召し上がったら100人中80人はこう言うに違いない……「普通である」と。
・レトロシリーズ第3弾
第1弾の「トンテキ定食」を皮切りに、現在「レトロシリーズ」を展開中の松屋。第2弾の「トマトカレー」に続き登場したのが、6月13日から発売開始となった『チキン定食』である。
「トンテキ定食」と「トマトカレー」をご存じの方は多いと思うが、長年松屋に通っている私(サンジュン)も『チキン定食』はその存在すら知らずにいた。何でも一部では “幻のメニュー” と呼ばれているそうだ。
・幻のメニュー
冒頭でもお伝えした通り、チキン定食は1980年に初登場し、当時は80にも満たない店舗でのみ展開していたとのこと。松屋によれば「松屋歴30年のツワモノが噂にしか聞いたことが無い幻のメニュー」だという。いや、噂にも聞いたことないし、松屋の噂自体そんなにしないよ。
また「チキン定食」という、だいぶザックリとしたネーミングも気になるところ。これは食べてみるしかあるまい……というわけで、販売開始直後の松屋へと直行した。
チキン定食は肉の枚数が選べるようになっており、肉3枚が680円、肉4枚が780円となっている。また肉2枚と麻婆豆腐のセットが890円、同じく肉2枚とデミグラスソースハンバーグのセットが1130円だ。
・異質なビジュアル
今回注文したのは肉4枚のセット……だったのだが、肉はハムのように丸い形状で、チキンのどの部位が使用されているかはわからない。というか、チキン定食の商品名からこのビジュアルは想像できないだろ……!
で、その丸いチキンを食べてみると……なるほど。食感はまさしく “ちょい厚切りのハム” といった感じ。ただ味は普通に鶏肉であり「まあ確かにチキン定食ではありますね」とは思えた。
ソースは玉ねぎとニンニクの風味が効いたしょう油ベースで、こちらは松屋らしさが感じられる。……が、総合的には「可もく不可もない50点の定食」というのが率直な感想だ。正直「もう1回食べに来ようかな?」とは全く思わなかった。
・逆説的ではあるが
一方で「昔の松屋より今の松屋の方が遥かにレベルが高い」という重要な事実にも気付かされた次第だ。ハムのような食感だったチキンはゴロゴロに進化を遂げ、鉄板焼き系の定食自体もチキン定食よりは遥かに食べ応えがある。逆に「チキン定食」がいま考案された商品なら、店頭に並ぶ可能性は極めて低いことだろう。
つまり松屋は40年前よりも確実に美味しくなっているというワケ。チキン定食自体は残念でも満足度が高いでもない “普通オブ普通” のメニューであるが、松屋の進化を気付かせる意味では有益だったのかもしれない。
なので私自身は「チキン定食が美味しいからオススメだよ!」とはお伝えできない。ただ「普通すぎてビックリするから食べてみて!」とはオススメできる。繰り返しになるが、40年ぶりに復活した「チキン定食」はとんでもなく普通の定食であった。