イタリアといえばピザ。街を歩けば安くておいしいピッツェリア(ピザ屋)がたくさんあって、ピザ焼き職人たちが日夜ウデを振るっている。イタリア最高! ピザ最高!!
ってな気分で首都・ローマを旅していた私は、ふと「イタリアにも宅配ピザがあるのだろうか?」という素朴な疑問を抱いた。調べたところ、あの『ドミノピザ』がローマ市内に数軒存在しているらしい。
ソーセージやチーズでギトギトに味付けされたアメリカ風ピザは、イタリア国民にとって邪道ともいえる存在。果たして繁盛しているのだろうか?
・行ってみる
Googleマップによると、ローマ中心部エリアにドミノピザが3軒。とりあえず現在地から一番近い店舗を目指してみることにした。それでも電車で30分くらいかかった。
マップによればこのへんのハズ……
……うん。やっぱ、この場所しか考えられない。時刻はランチタイム真っ只中。今日は定休日なのだろうか? しかしながら、いくらシャッターが下りているとはいえ、ドミノピザの「ド」の字も見当たらないのはヘンだ。あまり考えたくはないが、すでに潰れてしまった可能性がある。
ここまで来といて「潰れてました」では記事にならないので、仕方なく私は別のドミノピザを目指すことにした。電車を乗り継ぎ、さらにバスに乗る。マジか〜。
このようなローカル体験は貴重だが、行き先がドミノピザってのもなんだかなぁ。
着いた。ドミノピザが営業していそうな雰囲気は全然ない。最低でも存在はしていてくれ、と願う。
・果たして
マップによれば、この駐車場の先がドミノピザ。
ここまで来といて無駄足はさすがにキツい。頼む……
お!?
ドミノピザと書いてある!!!!!!
・ドミノのピザ屋
みんなよく知るドミノピザの正式な表記は「Domino’s Pizza」。そして私が今回訪れたのは「Domino’s Pizza」……つまり、正真正銘のドミノピザなのであった。
とはいえ、私がよく行く新宿のドミノピザとはずいぶん雰囲気が違う。 “名前だけ同じ別モノ” の可能性が高そうだが、絶対に違うとも言い切れないのが難しいところだ。あの奥の紳士がドミノだろうか?
とりあえずピザを注文してみる。日本だと「焼きたてのピザこそ至高」的な考えが根強いが、意外にもイタリアのピッツェリアは作り置きを切り分けてもらうスタイルが一般的だ。何も分からないのでお店の人オススメのヤツをオーダー。
あら? こっちがドミノかな?
さて店先のイートインスペースでのんびりピザタイムである。
ピザとキッシュの中間みたいな感じで、ちょっとビックリするくらいおいしい。何味なのかと聞かれれば「イタリア味」としか答えようがないのだが、冷めててもこんなにおいしいなんて、やっぱ本場はダテじゃねぇな。
このドミノピザはかなり繁盛していて、近隣の人たちが続々とテイクアウトに訪れる。みんな笑顔で私に声をかけてくれた。ローカルのぬくもりが沁みる。
おっ、隣席のワンちゃんが甘えに来たぞ。最高か、イタリアのドミノピザは!
・謎は謎のまま
和気あいあいとしたムードの中ビールが進み、ピザを追加でオーダーしてしまった。
『キュウリとエビ』のピザとは、日本人は逆立ちしたって思いつきそうにない組み合わせだが……
これ、気絶するほどおいしい。このためだけにローマへ来るのも全然アリ!
再びバスと電車を乗り継ぎ、ローマ中心部へ戻ったころには日も暮れていた。結局あのドミノピザとこのドミノピザに関連性があるのかどうかは不明。だが少なくとも、我々が知るドミノピザとかなり様子が異なることは確かである。
ちなみに、取材を行った昨年夏の段階で、 “あの有名なドミノピザ” は確かにイタリア国内のどこかで営業していたらしい。が、そのわずか数カ月後にイタリア全土からの撤退を発表。やはりアメリカナイズされたピザはローマっ子たちに受け入れられなかったようだ。
ってことは、だ。私が今回訪れたドミノピザが今もまだ営業していたとすれば “あのドミノピザ” と “このドミノピザ” は完全に別モノってことになるワケで……誰か確かめてきてくださ〜い!
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24. / Googleマップ