地球でもまだ未知の場所ってあるもんなんですね…。
メキシコとハワイの間にある太平洋の深海、クラリオン断層帯とクリッパートン断層帯に囲まれた海域をクラリオン・クリッパートン海域(CCZ)と言います。
深さはだいたい3,700mから5,500m、広さはなんと約440万平方km。日本が約37万8000平方kmなので、約10倍以上の大きさです。
冷たくて深くて、光が一切入り込まない超深海。水温は4度。でも、やっぱり生命はそんな環境でもいるんです。
深くて冷たくても生きものがたくさん
ロンドン自然史博物館の深海研究者Adrian Gloverさんは「海洋生物が信じられないほど豊富な海域なんです」と米Gizmodoの取材に答えてくれています。
これまでGloverさんはクラリオン・クリッパートン海域を6、7回訪れて調査しているそうですが、遠隔操縦ロボットでたくさんの深海魚を発見しているとのことです。
でもこの海域の海洋生物についての研究はまだまだ足りておらず、一体どんな生物が棲んでいるのかまったく未知なんだそう。
多金属団塊の宝庫
実は、クラリオン・クリッパートン海域は深海の生物よりもっと有名なことがあります。それは「多金属団塊」と呼ばれる、太古の岩石。この多金属団塊がめちゃくちゃ眠っている地域なんです。
多金属団塊には銅、ニッケル、コバルト、リチウム、レアアースなどの鉱物がふんだんに含まれています。というわけで、ここの多金属団塊の採掘をする計画や提案が多く出されているため、未知の海底の研究がされているのです。
そして実際に7月から採掘企業からの申し込みが国連で開始されます。すでに何年も前から世界の採掘企業はエリアの研究をしていて、どの国のどの企業がどのエリアを採掘するかは割り当てられていて、計画申し込み書が査定されることになっているみたいです。
未知の生物が明らかになるかも
まだ100%採掘計画が実行されるとは限らないのですが、採掘が始まると、この海底に住む生物の実態が明らかになっていくはずです。
というのも、クラリオン・クリッパートン海域に棲む生物の90%が未知の生物。採掘企業と海洋生物学者は一緒にこの海域の研究をしてきていますが、まだまだサンプルが集まっていない状態だそうです。
5,580の個体データのうち、436が名前のついた生物で、残りの5,100の生物は完全に謎ということだそうです。
今回の研究の著者であるロンドン自然史博物館の深海研究者Muriel Raboneさんも、同僚のGloverさんらの協力を得て2年かけてデータの収集をしました。
結果、いろんな種類のエビ、海綿、甲殻類、虫、そして魚がいることがわかり、さらにはほとんどが未知の種類だったとのことです。
Raboneさんの研究チームはこの収集結果を元にクラリオン・クリッパートン海域に生息する生物のチェックリストを作っていくつもりだと話しています。
でもこれまで見つけたデータはまだまだ氷山の一角。採掘がはじまると、生物の研究が難航するのか、もっと判明するのかはまだわからないとも語っています。ぜひともサステイナブルな方法で採掘を行なってほしいですよね。
というわけで、お待たせしました。深海の研究者たちも見たことのない、太陽の当たらない世界で生きている不思議な生物、見ていきましょう。