一般的なレモンサワーのアルコール度数は、ビールと同じで大体5%前後だ。これが『ストロングゼロ』に代表されるストロング系になると、一気に9%前後まで上昇する。言うまでもなく、かなり高い数値だ……と思っていた。コイツを手に取るまでは。
2023年5月23日に発売された新商品『東スポ驚愕レモンサワー』のアルコール度数が何%かご存じだろうか? 答えは……
13%や──。
繰り返す、アルコール度数13%である。魔界から召喚されたんか。日本を滅ぼすサタンのような同商品が昨日、ようやく手に入ったので、さっそく人柱になってみたい。
・狂気のアルコール13%
東スポこと「東京スポーツ」がプロデュースした『東スポ驚愕レモンサワー』(税抜248円)。そのキャッチフレーズは「これヤバいだろ! いいから飲んでみ?」だ。ここまで期待通りに頭が悪いキャッチフレーズを、私(あひるねこ)は他に知らない。
ぶっ飛んだ缶チューハイというと、2018年にローソン・ポプラ限定で発売され話題になった『サンガリア スーパーストロング12 レモン』が思い浮かぶが、それでも度数は12%だった。まさかあの数字を超越する化物が誕生してしまうとは……冗談抜きに世も末である。
・飲んでみた
パッケージには「ロックでたまらん!」と、これまた期待通りのフレーズが書かれている。が、まずは缶から直接飲んで、その仕上がりを身を挺して確かめてみよう。
グビ……グビ……
カッテぇ……!
・異次元の濃さ
おいおいマジかよ……何なんだよこれは。レモンサワーはレモンサワーでも、ここ数年流行っている苦味が少なくて果汁感の強いレモンサワーとはまったくの別物だ。甘みが一切ないどころか、人生の甘くなさまで一緒に突きつけてくるような情け容赦のない味わいである。
ガツンとくると言えば聞こえはいいが、この東スポレモンサワーは全体的にもっと殺気立っているというか、例えるならそれは抜き身の刀。鞘(さや)に納めていない真剣を腰からブラ下げ、我が物顔で市中を闊歩している……そんな触れたらキケンなヤバさが、確かにここにはある。
そこで今度は、グラスに氷をたっぷり入れて注いでみることに。その結果……うん! この方が明らかに飲みやすいぞ!! グビグビ~~。ところが、しばらく飲み進めて分かった。
これただのストロングゼロだわ。
・スタート地点が違う
氷で薄まって飲みやすくなったつもりでいたが、よく考えたらアルコール13パーの酒が多少薄くなっただけなので、その中身は “絶好調のストゼロ” とほぼ大差がない。「グビグビ~~」じゃないんだよ。危ねぇよ。こんなんごく普通に飛ぶだろ。
13%というアルコール度数は、レモンサワーというより、もはやワインや日本酒の領域だ。そもそもチューハイ感覚でガブガブ飲むこと自体が間違っていると言えるだろう。日本酒用のグラスに注いでチビチビ飲むなどしないと、とても身が持たない。
・世紀末の具現化
さすがにこの濃さがメインストリームになることはないはずだが、できれば東スポレモンサワーは、酒のウマさも怖さも知り尽くした歴戦の酒飲みにのみ売ってもらいたいものである。大学生が面白半分で買うには、いささか世紀末が過ぎる劇物だ。
個人的にはこういう脳みそが溶解したような珍商品は大好物なのだが、あなたの明日のためにも、購入の際はぜひ本稿の内容を思い出してほしい。これは同じ酒飲みからの忠告である。