祭のシーズンを迎えている神田~浅草。2023年は神田祭や三社祭が4年ぶりに開催され、賑やかな週末が続いた。そして、6月9日、10日、11日には鳥越祭がやって来る。この時期は、浅草近辺に住んでいて良かったと思う。祭って本当にいいものですね。
大阪泉州生まれの私(中澤)は祭が好きだ。大人も子供も一緒くたになる雰囲気には、子供の頃から変わらず非日常を感じる。そんなわけで、三社祭にも身を投じていたわけだが、その時ふと出店を見て気づいた。生まれてこの方、出店の焼きそばを食べたことがないことに。
・食べたことがない理由
マジかよ! 正直、これは自分でも衝撃であった。なぜならば、私の生まれ故郷は田舎なので、30年前の子共のエンタメなんて祭の出店くらいしかなかったからである。しかし、思い返すと、確かに食べたことがない。理由はすぐに思い当たった。
出店でものを買うのが怖かったのである。いや、買うのが怖いというより、大人と話すのが怖かったのだ。私は今41才だが、同い年くらいの人は子供の頃のことを思い出して欲しい。その辺を歩いている大人と違って、店の大人と話すのって怖くなかった?
・環境
特に、出店はオッサン率が高いから怖かった。また、こういう場合、友達と数人で買うのを繰り返して慣れていくというのが普通だと思うが、私にはそんな友達はいなかったのである。
さらに、親は「祭の出店の食べ物は高い」とオススメしない的な雰囲気。今考えるとコスパの話で、その時は確かねだった綿あめを買ってくれたのだが、ともかく、私の心には出店の食べ物はマズイものとして刻まれたのであった。
その上、親元を離れてからは、金がなさすぎて買おうという気すら起きなくなった。上京してからの私にとってはガチで贅沢品になってしまったのである。というわけで、気づけばウィンドウショッピングだけで41年間が経過してしまったわけ。三つ子の魂百までとはこのことか。
・買ってみた
したがって、昼ご飯を出店で済ませるとかも抵抗があるのだが、よく考えたら三社祭の昼時なんて普通の飲食店は激混みであろう。おまけに、もうオッサンなのでガッツリ食べたら胃がもたれる。
今は出店で買う金がないというほどでもないし、多少いまいちであったとしても焼きそば。カブトムシとかゲンゴロウとか食べてきた私が何を今さらという感じだ。
それらの経験を踏まえると、出店でサクッと昼ご飯を済ませてしまうという選択肢はありなのではないだろうか。そこで目の前の焼きそばを買って食べてみたところ……
ウマイやないかい!
プチッとした麺の乾いた食感が甘辛いソースに合っている。個人的には焼きそばの麺はモチモチ系よりも乾きが入ったこの感じの方が好きだ。ちょっと素っ気なさがある食感と言うか。バンドで例えるなら、オアシスよりもストロークスみたいな切れ際である。
さらに、量も爆盛りだ。プラケース自体が片手サイズとは言え、あふれ出す麺をフタで無理やりまとめているところは好感が持てる。金糸卵も入っていて、これが500円なのは特に高さも感じなかった。
・最高すぎたから
価格は店によって600円のところも700円のところもあったので、良心的な店だったのかもしれない。ガソリンスタンドみたいになってる。だが、いくらで買ったとしても祭の中で食べる雰囲気はプライスレスだと思った。あまりに気分が最高だったので……
じゃがバターも買っちゃいました。
実は祭のじゃがバターも食べたことがなかったのである。ポテトチップスとかマックのポテトの高級版みたいな感じでめちゃくちゃ良いなこれ。しかも、バターや明太マヨつけ放題とか都会の出店SUGEEEEEE! 気が利いてるゥゥゥウウウ!!
・ブチギレ
今度の祭でも絶対食べたい。むしろ、なんで41年間もこの一歩を踏み出さなかったのか。そんなに高いハードルじゃないのに。これまでの自分にブチギレそうである。お前はまだ祭を知らない。
とは言え、一生食べないよりは知れて良かった。次にこれが味わえるのは近所だと鳥越祭か。あー! 早く6月9日来ないかなあ。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.