黒坂岳央です。
バイデン大統領は、最後に残されたCOVID関連の制限を撤廃する。これで米国は完全にパンデミックを克服したかに思えた。しかし、今米国では新たな流行が進行中だ。USA Todayの記事によると米国外科医長Vivek Murthy氏は、「孤独の流行(loneliness epidemic)」を発表している。
From Opinion: Loneliness can’t be fixed by a federal agency. Ultimately, it’s up to us to fight this emerging epidemic. https://t.co/PzNTbsry2s
— USA TODAY (@USATODAY) May 13, 2023
同記事によると外科医総監は81ページに及ぶ報告書を発表し、米国成人の半数もの人々が孤独を経験したことを明らかにした。日本では2010年にNHKが「無縁社会」という番組を取り上げていたが、3.11で人々の絆が見直されたことで孤独を克服することの重要性が社会に広がったように思う。
なぜ米国で孤独の問題が起きているのか?
人々を孤独にする原因はなにか?
同記事によると、テクノロジーとSNSが孤独問題を顕在化させたと分析。これは筆者の過去記事かつてない危機に直面するアメリカ10代の若者たちで取り上げたことがあるが、情報は薬より毒になることの方が多い時代に入ったと思っている。
SNSによって人々は嫉妬心を煽られ、不安になり、勝手に誤解して相手を敵視する。リアルで交流していたらなんてことないコミュニケーションでも、オンラインでは過剰な動画演出や、細部まで配慮の行き届かないテキストコミュニケーションによって発信者側の真意から程遠い解釈がなされてしまうことは少なくない。
たとえばSNSで非日常の買い物や旅行体験を気持ちが上がってアップしただけなのに、「この人は優雅な生活を送っていると自慢したいだけだ」といった無用な誤解を招という話はよくあることだ。リアルでのコミュニケーションではお互いに楽しめる話のネタになるものでも、オンラインでは負の作用になることは少なくない。
テクノロジーの進展により、フォロー/フォロワーという関係性の繋がりは容易になった。しかし、心の繋がりは逆に希薄化したのかもしれない。これが孤独感を促進する一因と考えられるだろう。
リアルの付き合いを大事にしよう
人々の孤独を解決する方法には何があるのか?これは個人的見解になるが、むやみにネットで付き合いを増やそうとするのではなく、リアルでの人付き合いを大事にすることだと思っている。
リアルで友達や家族との不和があっても、一緒に食事をしたり目を見ながら話をして時間の経過でまた元の良好な関係性に戻ることができる。もとい、一緒に不和を乗り越えた回数が増えるほど、お互いの価値観の理解が深まる。ネットだと不和は永遠の別れに繋がりやすいが、リアルではそれが絆に変わる可能性が残されている。ネット上でどれだけ多くの人とポジティブなコミュニケーションをとっても、孤独感の根本解決にはならないだろう。
やはり人はリアルでの人間関係を充実させることでしか、本質的な孤独感を解消できないのではないだろうか。
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「孤独」と「孤独感」は明確に別ものとして取り扱うべきだと考える。孤独は状態、孤独感は心理的なものだ。状態が孤独でも、たとえば創作に没頭するタイプの人間は寂しさを感じない。しかし、その逆に孤独感は毒になる。結婚をしても家庭内で孤立し、愛がなければ状態として孤独でなくても、心は強烈な孤独感に染め抜かれてしまうということが起きる。本題は孤独感をテーマとして取り扱うものであり、SNSは孤独を取り払ってくれても、孤独感は解決してくれないと考えるのである。
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