これがフィリピン名物、ジプニー
フィリピンにはジプニーという乗り物がある。
ジプニーは、決められた区間を往復する乗り合いタクシーというか、まぁバスみたいなものだ。どの乗り物よりも安く目的地へ運んでくれるため、庶民の足として活躍している。
そんなジプニーの車体には、個性ある派手なペイントがなされており、さながらデコトラのよう。見ていてとても面白い。
今回は、このジプニーの車体に描かれたペイント、すなわちジプニーアートを観察してみようと思う。
※2008年6月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
そもそもジプニーってどんなもん?
ジプニーはアルファベットではJEEPNEYと書く。その名の通り、元は米軍から払い下げられたジープを改造し、客を乗せたことに始まるそうだ。
今でも一台一台、トラックをベースに職人が手作業で作っているらしく、そのボディにはなんともいえない味がある。
どうだろう、カッコ良くないだろうか。私はカッコ良いと思う。
この写真のジプニーは極めてシンプルなジプニー。特にコレといったペイントも無く、側面には行き先や経由地を示す文字など、事務的な表示しかないプレーンなジプニーだ。これを基本に見ていこう。
ちなみにジプニーに乗るには、タクシーのように手を上げて止め、後部から中に乗り込む。中には長ベンチが二台置かれており、客は「骨格の限界に挑戦!」と言わんばかりにそのベンチにとにかく詰めて座る。
カラーリングされたジプニーたち
ジプニーの特徴は、なんと言ってもカラフルなペイントにある。先ほどのようなシンプルなジプニーはむしろ稀。たいていのジプニーは様々な種類の図柄をそのボディに纏い、騒音と排ガスを撒き散らしながら町を疾走している。
それでは、そのようなカラーリングされたジプニーをご覧あれ。
フィリピンの首都マニラには、もの凄い台数のジプニーが網の目を縫うように走っている。しかし驚くべきことに、それらはいずれもデザインが違い、同じものは無いという。
それはやはり、手作りであるということが大きいのだろう。車体を板金職人さんが手で作り、塗装職人がオーナーの趣味に応じたデザインの塗装を行う。その全てが一点モノ。あぁ、なんて贅沢なんだろうか。
しばらくジプニーを観察していると、そのデザインにはある種の傾向があることに気が付いた。
先ほど、同じデザインのジプニーは無いと言った。確かに全く同じデザインのジプニーは無いのだが、そのデザインの元となるモチーフには、いくつかの共通性があるようなのだ。塗装職人ごとに得意のジャンルがあるのだろうか。
次ページからは、ジプニーアートをモチーフ別に分類しながら少し詳しく見ていくとしよう。