「友だちがやってるカフェ / バー」スタッフの高いコミュ力に自己防衛の壁を簡単に打ち砕かれた! ……けど、接客ってコレでいいのかも

ロケットニュース24

私(佐藤)は意外とコミュニケーションスキルが低く初対面が苦手だ。緊張してしまって顔が引きつることがよくある。したがって、表情を隠すためにもマスクを外すことができない。とくに飲食店で「こんにちは~」と言われるのが好きじゃない。フレンドリーを押しつけられる感じが好きになれないのだ。

そんな私がタメ口で接客する「友だちがやってるカフェ / バー」に行ってみた。そうしたところ、これが意外にもよくて、接客ってコレでいいんじゃないのか? と思ってしまった。

・高いコミュ力で「自己防衛」の薄い壁を木っ端微塵に打ち砕かれる

このお店は2023年4月22日、原宿にオープンした。ニュースリリースによると、お店のコンセプトは次の通りだ。


「店員が友達として接客するカフェ / バーです。ご来店されたお客様は「来てくれたんだ!」などと出迎えられ、店名の通り、友達のバイト先に遊びに行っているような感覚をお楽しみいただけます」


友達のバイト先に遊びに行った経験は、こんな私にもある。それももう軽く20年近く前の話で、30代になってからそんな経験をしていない。そもそも原宿で働くようなオシャレな友達がいたことなどない。ましてカフェなど……。

しかしながら、フレンドリーなタメ口接客に逆に興味がある。職質常連の私みたいな怪しい輩にも、親しみを持って接してくれるのだろうか? と。


実際に店前まで来てみた。ガラス扉の向こう、カウンターの中の若い女性スタッフと目があった。すでにその段階でフレンドリーは始まっていたのだ。彼女は私を見て手を振っている

マジかよ、こんなヒゲ面長髪のおっさんとあなたが知り合いのはずがない。なのに、満面の笑みを浮かべて手を振っている。そこですでに私の防衛能力は危機的な状況に陥っていた。


そして扉を開けて中に入るとすかさず!


スタッフ「久しぶり~!」


そう来たか。当然「いらっしゃい!」ではなく「こんにちは!」ですらなかった。一瞬戸惑ったものの、私は反射的に。


佐藤「ひ、ひさしぶり!」


と応戦。なんとか迎え撃つことができた。「こんにちは」よりはずっとマシだ。なぜなら、他人行儀な印象を受けなかったからだ。すでに彼女は私のフトコロに入り込んでしまっていた。


スタッフ「あれ? いつぶりだっけ? 3年ぶり?」


そんな訳がない。だって、この店先週オープンしたばかりじゃないか。3年前には店の構想すらなかったかもしれないというのに……。イカン! 現実を頭から排除せねば。


佐藤「そ、そうだね。久しぶりだね」

スタッフ「今ちょっと満席なんだけど。テイクアウトでいい?」

佐藤「い、忙しそうだもんね。全然大丈夫! 今日は持ち帰っちゃおっかな!」


よくやってる。我ながらよくやってるぞ。その調子でついていくんだ。ここで私も反撃の一手を打って出た


佐藤「じゃあ、いつもので!」


このお店のメニューはこんな感じで会話を織り込んでいる。「いつも飲んでるやつ」というと、スタッフが勝手にメニューをセレクトするそうだ。ちなみにそのセレクトが気に入らなければ、断ってもOKとのこと。


スタッフ「いっつもドリップ(コーヒー)だったよね? ホットにする? アイス?」


……やるな、まさしく私はコーヒーを飲みたかった。まさかこの人、私のことを知っているのか? ひょっとして本当に友達だった過去があるのか? いやいや、そんな訳がない。だが、この親しみのある接客は悪い気がしないな。こっちも気楽に話せる。


佐藤「今日は寒いからホットでお願い」

スタッフ「OK! 今から落とすからそこらへんで待ってて」




満席の店内で、おっさんは1人で立ったまま待つことになった。その間も別のスタッフから唐突に声をかけられ……。


スタッフ「待たせてごめんねえ。すぐにできるから。そういえば、久しぶりじゃない? 美術館に行って以来?」


これは予想できなかった。架空の設定に引きずり込まれたらしい。違う世界線で会ったことがあったかも……


佐藤「え、あ、いや……。俺、美術館に行ってないよ」

スタッフ「ウソ~、行ったじゃん。みんなで上野美術館に」


く、く……。返せん。気の利いた言葉で返せん。さらに彼女は畳みかける。


スタッフ「来るならLINEくれればよかったのに~」


負けた、コミュ力のなさで完全に負けた……。返す言葉が何も浮かばん。ここは乗っていくべきだろ、俺! だらしないヤツめ……


……と、まあこんな感じで、演劇のロールプレイのようにスタッフが架空の設定をボンボン放り込んでくるので、乗っかっていった方が楽しめるお店だ。おっさんはそのスピード感と突き抜けるような朗らかなコミュ力に、薄い壁をぶち破られた末に、コーヒー(税込680円)を手に店を出ることになった。


退店間際にはスタッフから温かいお見送りの言葉が。


スタッフ「またいつでも寄って! 待ってるからね」

佐藤「うん、また寄らせてもらうわ」


悪くない……。次に来るときは、こちらもしっかり架空の設定を用意して臨みたいと思う。



・こっちも気が楽

初めて訪ねるとかなり戸惑うと思うけど、接客ってこんな感じで良いんじゃないかなと思った。というのも、業種にもよるがうやうやしい接客を受けると、疎外感を覚えることも十分にある

口では丁寧に接してくれてるけど、態度はその言葉に相反しているケースも少なくない。それならいっそ、ざっくばらんに接してくれた方が、こちらも気構えずに済むというものだ。


少し違うかもしれないけど、外国の映画のドラッグストアとかで雑な接客を受けるシーンに憧れていたりもするので、テキトーに「ワッツァ(What’s Up)」みたいな接し方をされるのも良いんじゃないかなと思った次第だ。


なお、このお店では現金で支払いできないので、その点を注意してほしい。それから覚えのない出来事の話をされるけど、ガンガン乗っていくことをオススメする。とくに中高年のおじさんは、がんばってついて行って欲しい。その方が絶対楽しいぞ。


・今回訪問した店舗の情報

店名 友だちがやってるカフェ / バー
住所 東京都渋谷区神宮前6-6-2 原宿ベルピア3階
時間 12:00~23:00

参考リンク:PRTIMES
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

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