山崎製パンのあのローズネットクッキーはまだ売られている

デイリーポータルZ

ローズネットクッキー。山崎製パンのロングセラー菓子パンである。

「ロングセラー」と知ったのは実はつい最近だ。

というのも、もう30年ちかく前、高校生の頃よく食べていて、さすがに終売になったとばかり思っていたのだ。

ドラッグストアでの急な再会

再会したのは昨年末。出先で寄ったドラッグストアの菓子パン棚だった。

びっくりした。もう何年も見ていないあのパンが、普通の顔で棚に並んでいるのだ。

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撮影させてもらった写真

再会において、相手が人だったら自分と同じ分だけ相手も年をとっているけど、モノはそのときのままに存在するからびっくりする。

ローズネットクッキーは、かつてと同じ様子で売られていた。

最初に見つけた際は胃の準備ができておらず購入は見送った。今回改めて、ちゃんと体調を整えて改めてお迎えしたというわけだ。

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なんとこのタイミングでまさかパッケージがアップデートしてた!

ローズネットクッキー、そのおそろしさ

さきほど「胃の準備ができておらず購入は見送った」「体調を整えて改めてお迎えした」と書いた。どういうことか。

ローズネットクッキーのことをご存じの方はもうおわかりかと思う。この菓子パン、特徴ななんといっても爆弾的なカロリー値だ。

サイズは昔も今も変わらず手のひらに乗るくらいの大きさである。

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ミスドのドーナツくらいの大きさ

内包されたカロリー値、なんと546kcal。ビッグマックより高カロリーなのだ(ビッグマックは525kcal)。

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ショッキング

いや、ローズネットクッキーには一切非はない。

それくらい、食べ応えと美味しさに全振りした、その証としての、誇れる546kcalなのだと思う。

クッキーと名づいてはいるが、その実この菓子パンはドーナツである。

生地をぐるぐる2重に搾りだして揚げてある。油の接する面がやたらに多い。そこへとどめのシュガーコーティング。

やってることの形容として「かっこいい」としか言えない製法だと思う。 

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2重の生地が、まんべんなく揚がっている

10代の頃ですら、ばくばくは食べられなかった。友人間でもあのパンはやべえと噂だった。

荒ぶる獅子をもしのぐ高校生の食欲を、菓子パンひとつで押さえこめる、切り札のようなパンだったのだ。

ちなみに似たドーナツとしてミスドのオールドファッションがよく挙げられるが、サイズが小さいこともあってオールドファッションは293kcalである。

ひとかけらで満腹になった

つまり、中年が食べるものではない。しかし見つけてしまったからには一度食べておきたいじゃないか。

いまこの瞬間がいちばん人生で若いのであり、若い胃なのであれば、いま、食べるしかない。

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敬意を表し、ヘルシア緑茶αと一緒に買ってきた

パッケージをあけるとドーナッツのかおりがひろがる。小麦粉と砂糖とあぶらのかおり、おおおっ、これこれ!

まずシュガーコーティングがサクッと歯にあたって、そのあとしっかり揚げられたサクサクの生地層がやってくる。最後に中央のやわらかい部分に到達して、口のなか全体が香ばしく甘くふやける。

タンパク質ではこうはいかない、甘さと油のコンビネーションでしか成し得ない種類のうま味がすごい。

うまみの堪能に平行して驚くほどぐんぐん胃がふさがっていく……!

試しに一かけらで一旦食べるのをやめてみた。完全に満足している。すごい。

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これくらいで胃がふさがる。笑うしかない

しばらく「満足」を味わってから、まだ残りがあることを祝福し食べきった。

一気に食べると案外すいすい食べられてしまうのもおそろしいところだ。

ドラッグストアやスーパーにある模様です

ローズネットクッキーを見かけなくなった理由のひとつとして、コンビニ菓子パンのプライベートブランド化が大きな理由ではないか。

大手コンビニチェーンの菓子パン棚で幅を利かせているのは各社のPB品だ。メーカー品も置いてはいるが数は少ない。

今回ローズネットクッキーを見つけたのはどちらもドラッグストア。そういう場所で生きながらえていたのだなあ(あとで調べてみると、ドラッグストアやスーパー、またニューデイズ等の3大チェーン以外のコンビニでも見かけることがあるようだ)。

アメリカのシットコムでむかし、嫌なことが嫌なことであればあるほど、脂肪分の多いアイスクリームをバカ食いするのだと、登場人物がでかいケースをかかえて食べるシーンがあった。

最悪の際は、アイスクリームにローズネットクッキーをトッピングするのはどうか。なにもかも、どうでもよくなると思う。

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